小樽の坂と建物の構造

 小樽は坂のまちだ。そのため面白い構造をした建物が数多くある。
 僕の実家は平野部にあるので、坂の町小樽でひとり暮らしを始めてから数々の不思議な体験をしてきた。

 例えば僕が通う小樽商科大学。食堂や購買がある学生会館は、1階からも2階からも地上につながっている。1階の出入口が坂の下側につながっており、2階の出入口が坂の上側につながっている。
 最初は2階の出入口から入れることを知らず、坂の上側にある講義棟からわざわざ坂を下って1階の出入口から入っていた。

 小樽商科大学の構内にはもう一か所面白い構造の建物がある。それは講義棟の4号館と5号館の連絡通路だ。4号館の2階から入り、緩やかな上りスロープの通路を通ると5号館の1階につながる。そして5号館の1階からも外に出られる。初めて5号館で授業があった僕はこの構造に戸惑ってしまい、授業に遅れてしまった。

 このような構造になっているところは小樽市内ではよくみられる。TSUTAYAが入っているビルは、坂の上側と1階が、坂の下側と地下1階がつながっている。地下1階から階段を使わず地上に出られる建物を見るのは初めてだった。

 僕が住んでいるアパートも、玄関フードに入るとまず下り階段がある。1階に住んでいるのに、部屋の半分地下に埋まっているので地下室のようだ。外から見ると窓の高さが異様に低く、窓を開ければそこから部屋に出入りできる。

 小樽は坂が多い。だからこそ不思議な構造の建物がたくさんあり、生活の中にある。
 普段自分が住んでいるまちでは当たり前のことが、小樽では当たり前ではないかもしれない。小樽を回ると不思議な発見があるかもしれない。

(ゆずやま)