二楽園の滝
最上町の天狗山に向かう千秋通り沿いにあるもがみ公園には滝がある。地元の人たちは、この公園を二楽園と呼び、この小さな滝を「二楽園の滝」と呼んでいる。
小樽の滝というと朝里川上流にある「魚留の滝」、勝納川上流の「穴滝」が有名であるのだが、この滝は、この公園が小樽市に寄贈される昭和33年(1958年)以前、個人の庭園だった頃に造成された人口の滝である。
滝の流れる小川は天狗山の中腹を発祥とする松ケ枝川と称し、もがみ公園の中を通り、小樽工業高校内を流れた後、明峰高校裏の谷地を通りほどなく暗渠になりオコバチ川と合流して小樽運河に流れ込んでいる。
私がこの二楽園の滝を初めて見たのは、もがみ公園の下に建つ公務員住宅に引っ越してきた昭和43年(1968年)春のことであった。今度引っ越す最上町の公宅の上には、滝のある公園があるんだよと、母親から大いなる期待を込めて教えられていたので、写真や図鑑で見る滝を連想し、妄想が膨らんだ状態で「二楽園の滝」との初対面を果たしていた。
当然、期待外れの規模に、なんともしぼんだ気持ちになった事は今でも忘れない。ただ、それ以降腕白坊主たちの格好の遊び場として、この「二楽園の滝」は大いに活用されていった。
滝の両サイドの石垣上りは、スリル満点。向かって右側からは、比較的スムーズに上まで到達できた。左側は少し難儀したのだが中級コース程度。写真を見ると大した高さはないようなのだが、滝の上に立つとなかなかどうして、ちびりそうになる・・・。ぐるっと写真左側横の斜面をまわってすぐに池の近くまで走り下りてきたものだ。
さらに滝上の木にも上り遊んでいた。ただ、「二楽園の滝」には大きな滝壺や、池の水深も膝丈くらいしかなかったので、滝から池に飛び込むというような豪快な事は、到底できなかった。ただ、もしできる環境に合ったら、間違いなくやっていただろうと付け加えておくとする・・・。というか、ゲームもパソコンもない時代、運動神経に関係なく、まわりはそんな腕白坊主たちだらけだった時代の話しである。
(斎藤仁)