都通り

 都通りは小樽駅前の中央通りから日銀通りまでの約300m強のアーケード街である。北海道では札幌の狸小路商店街に次いで、昭和41年(1966年)にアーケード化された大正時代から続く由緒ある商店街である。

 私がはじめて都通りのお店に入ったのは、中央通り側にあった「花屋」という釜飯屋さんだった。忘れもしない昭和40年(1965年)夏、当時住んでいた美唄の道営住宅に住む二家族で、水族館への日帰り旅行をした時だった。現在地の水族館ではなく、鰊御殿の下にあった初代小樽水族館の時の思い出である。

 翌年の昭和41年(1966年)4月に縁あって小樽に引っ越してからは、いろいろなお店にお世話になった。中学生になり友だち同士で流行りの映画に行くことになったのが電気館。映画は「小さな恋のメロディー」学生服着用が校則だった・・・。

 12月1日の映画の日が半額になるので、級友と高校を抜け出してポール・ニューマンとスティーブ・マックイーンの「タワーリングインフェルノ」を観に行った事もあった・・・。残念ながら男同士だった・・・。

 村田達哉先輩のムラタかばん店でサムソナイトの大型スーツケースを買い、純喫茶光では小林満マスターの挽いたコーヒーをごちそうになりながら音楽談義をし、若者に人気のあったJUNではなけなしの小遣いでスーツを買ったこともある・・・。

 桂苑のあんかけ焼きそばもよく食べている。あまとうのクリームぜんざいや美園のアイスクリームはまだ食べられるが、福来軒のラーメンや石川屋のそばはもう食べられない。
思い出話は尽きないが・・・。

 都通り商店街青年部の代表であるベネトンの鈴木創さんが、潮陵高校の同級生だったという縁で、8月お盆の金、土曜日に開催する都通りビヤガーデンを実施する年には、出演バンド手配のお手伝いをさせていただいている。

 何度か雨に当った事があるのであるが、アーケード街の強みでお客様に迷惑は掛からない。しかし、屋根に反響する雨音はドラムやパーカッションの音をかき消すほどの爆音だったことを思い出す。
 「実施する年」と書いたのは、商店街の居酒屋であるみやこ鳥さんが、飲食ブースを受け持つのであるが、アルバイトの人手不足でビヤガーデンまで手が回らず、実施できない年があったからだ。ちなみに平成30年(2018年)のお盆は3年ぶりに開催されたのだ・・・。

(斎藤仁)