蘭島駅
蘭島駅は、小樽市内で一番西寄り(余市側)の駅である。この蘭島駅の思い出と言えば、小学5年生だった昭和44年(1969年)、小樽市教育委員会主催の水泳講習会に参加した時のことである。
夏休みの1週間位だったと思うが、小樽市内の受講を希望する4年生以上の小学生が蘭島海岸に集まり、腕に覚えのある小中学校の先生の指導を受けるというものだった。これには私のクラスから数名の仲間が参加したのだった。
もう一つ、塩谷海岸ではタカクワ水泳講習会という民間の大きな講習会があったのだが、私のクラスから、タカクワクラブに通う仲間はほとんどいなかった・・・。
都市伝説のように、タカクワでは頭を押さえられて沈められるとか、超スパルタ指導だとかという噂が流布していてみんなそれに対して恐怖を感じ、ビビっているという部分が多分にあったと思っているのだが・・・。
さて、その水泳講習会であるが、毎朝学校に集合して小樽駅まで歩いて行き、引率の先生と汽車に乗り、この蘭島駅に降り立っていたのだ。帰りも同じく蘭島海岸から緑小学校軍団として行動し、蘭島駅から小樽駅に向かい、アリの行列よろしく当時緑小学校の仮校舎として使っていた、旧富岡小学校(現在の保健所)までぞろぞろと歩いて解散していたのだ。
当時はまだ蒸気機関車(SL)が当たり前に走っていたのだが、札幌方面に行く時はディーゼル機関車が主流で、なかなかSLに乗ることは少なかった。それが、この講習会に行く余市方面行きの列車はほとんどがSLだったのだ。
蘭島までの間いくつもトンネルがあり、汽笛の度、引率の先生の号令一過、「男子、窓を閉め・・・。」「よし、開け・・・」「また、トンネルだ、窓閉めー・・・」そのたび窓の開け閉めをさせられたことが、思い出される。
一度窓閉めのタイミングがずれて、SLの煙を車内に取り込んだことがあり、真っ黒な煤(すす)が肌に張り付いた事があった。
写真の蘭島駅は現在無人駅で、当時の駅舎ではない。当時は木造の有人駅で、今の駅の2倍以上の大きさがあったような気がする。子どもの記憶なので不確かではあるのだが・・・。
ただ、その駅舎から蘭島海岸まで海水浴客の長蛇の列ができていたのは、今でも覚えている。
(斎藤仁)