小樽の海と砂浜

小樽駅から18分程度、塩谷駅を越した先にあるのが蘭島駅である。小樽の端にあるこの地域は、観光客で賑わいを見せる小樽とはまた違った雰囲気を味わうことができる。

蘭島駅を出ると、海鳥の鳴き声や寄せては返す波の音が、お出迎えしてくれる。その音を頼りに進んでいくと、白くてきれいな砂浜にたどり着く。賑わいをみせるビーチというものは、その賑わいに比例し、ゴミが散らかってしまい管理が行き届かないことがしばしばあるが、この海岸線はゴミが散らかっていることもない。

私は蘭島に出会うまでに海にひとりで向かったことはなかった。しかし今では、夏場などの夕暮れ時に、ふとひとりで蘭島に向かい、海に向かう途中のコンビニで缶ビールを買い、海沿いでしばらくの間、ぼーっと海景色を眺めるなんてこともしてしまう。

隠れた名所だなあ、なんて思いながら過ごしていたが、100年もの歴史のある海水浴場であったということを、知り合いから聞いたときは驚きとともに、なぜ耳にしたことがなかったのだろうかという疑問が生まれた。私が行ったときには、海に来ていた人はそんなにいなかったはずだったからである。

後日、まだ日の高いうちに行ってみようと思い、蘭島に向かった。駅を出て、おなじみの海鳥の声と波の音が聞こえてきた。やはり、静かでよい場所だなあと思い、歩を進めるといつもとはなんだか違った雰囲気を感じる。そう思い、海岸線に目をやると、たくさんの人であふれかえっている。

家族連れや、カップル、老夫婦など様々な人たちが、みな子供にかえったように遊んでいる。

最初は、私だけの憩いの場だったのに、なんて嫉妬していたりもしたが、次第に、前に夕暮れ時に行った時とは、違った顔をみせるこの海に、心を奪われてしまった。

時間によって色んな顔をみせ、たくさんの人から愛されているこの場所を、更にたくさんのひとに触れてもらいたいと思う。

(俊)