浪漫の町の洋食

 小樽駅を運河へ向かって南へと下っていく。観光客の波に乗って眼前の海を眺めながら、今日は何を食べようかと胸を躍らせるのだ。

 小樽の食と言えばやはり海産物が有名だが、小樽バイン、あまとうや”ぱんじゅう”といった甘いものも魅力的だ。勿論私は全部大好きだが、小樽は洋食もとても美味しいのをご存知だろうか。浪漫の香り漂う小樽の街でいただく洋食はまた格別である。

 私が勧めたいのは、小樽駅をまっすぐに海側へ下って行く途中に一本左に入ったところにある”マンジャーレ TAKINAMI”という洋食店だ。鮮やかな黄色の壁に緑色の屋根、軒先の可愛らしい花々と赤い扉が目印のこの建物は軟石倉庫を改造したものだそうだ。

 小樽の特産品シャコのアクアパッツァや魚介が沢山のったパエリア、北海道の小麦で作る自家製パンがどれも魅力的だ。その日はランチをしに訪れ、ズワイガニのドリアと白ワインをいただいた。
 チーズの香ばしい香りが木のぬくもりで包まれた店内一杯に漂って、カニの仄かな甘みがとろとろのチーズと濃厚なホワイトソースとよく絡む。そしてこのチーズの塩気が白ワインにも合う。

 席でゆったりしながらついつい友達との話に夢中になってしまうのだが、高い位置にあるこの店の窓から差し込む日差しはブラウン基調の店内とマッチしてぬくもりある空間を演出してくれる。ダークブラウンのテーブルは差し込む日の光と相まってシックで落ち着いた雰囲気だ。友人との楽しいランチも、一人でゆっくりと食事をしたいときや大切な人とのディナーも、この素敵な食事と柔らかな空間は良く似合うだろう。

 このお店からは運河も近く、駅からも歩いて数分の位置にある。小樽のロマンを感じられる店内とお料理が、私は大好きだ。運河のお散歩のあとの一休みに、ゆったりと洋食を味わってみてはいかがだろうか。

(ざか)

※本記事の内容は2016年2月時点の情報に基づいたものです。