第二の母の味
「おかわりもう一杯!」
そう思わず言ってしまいそうな、とっておきのお店がある。
それは都通商店街からほど近い場所にある、「おちゃわん」という定食屋さんである。
名前からも分かるように、お店に連なるメニューは、まさに故郷の母の味。
家での定番メニューともいえる料理が数多く用意されている。実家から通う私でさえ、どこか温かいほっこりとした気持ちになる定食メニュー、実家を離れ一人暮らしを頑張っている学生などには、まさにもってこいのお店ではないだろうか。
おちゃわんには数回訪れているが、以前一人暮らしをしている友人二人と訪れたことがある。その料理の美味しさもさることながら、実家さながらの店員さんの暖かな接客やアットホームなお店の雰囲気も好きで、私から友人にかねてよりおすすめしていたのだ。そして、ある日3人の都合もついたので、おちゃわんを訪れた。
時間が昼間だったことから、その時間は多くの働くお父さんたちの憩いの場ともなっていた。賑やかに混み合う店内は、小樽の人たちがこのお店を、まさに「第二の母の味」にしていることがよく分かる光景だった。私は初めて食べたときからファンになってしまった唐揚げ定食を、友達も思い思いのメニューに舌鼓をうっていた。
一人暮らしの家ではあまり揚げ物や焼き物は作らないと話していた友人だったので、久しぶりの「実家の味」に喜んでくれて、私まで嬉しかった。食べながら思わず笑顔がこぼれ、会話も弾む素敵な時間。小樽のノスタルジックでレトロな雰囲気によく合う洋食も良いけれど、実はこうした和食のお店も小樽には良く似合う。そのお店の佇まいや、人の温かさもその理由の一つだ。
学生時代に訪れていたお店が、社会人になって小樽を訪れたときにも変わることなくその場所にあり続け、訪れた人々に安心感を与えてくれる、というのも老舗が多く存在する小樽の良さ。たまには昔ながらの和食のお店を訪れてみるのもいかがだろうか。
(かまとちよ)
※本記事の内容は2016年2月時点の情報に基づいたものです。