その味の虜
小樽駅から10分ほど、旧手宮線沿いにあるお好み焼き屋「花」をご存じだろうか。15年ほど前に小樽に現れたその店は、店内はさほど広くはないがお好み焼き屋にしては綺麗で、掘りごたつ式の小上がり席とテーブル席がある。椅子の下には荷物を入れる収納スペースがあり、臭いがつかず良心的。お店のこだわりは関西で精粉した粉とソースだという。
お好み焼きが好きだった私はこの店を見つけてから、普段はもちろん大学の研究室の集まりや友達とのクリスマスなど度々この店に足を運んでいる。
まず気に入ったのはメニューの豊富さ。お好み焼きだけでも30種類以上あり、どれにしようか毎回悩んでしまう。お好み焼き以外にももんじゃ焼きはもちろん、焼きそばや焼うどん、鉄板焼き、おつまみ、おにぎり、サラダなども種類が豊富だ。学生の財布はひもじいもので、全部食べてみたいのを我慢してその日の気分でいくつか頼むことにしている。
ここのお店は、自分で焼くか焼いてもらうかを選べるのだが、自分で焼きたい派の私はいつも自分でチャレンジしている。この日のお好み焼きは「ネギ玉」と「餃子玉」。どちらもここで食べるのが初めてだったが、ネギ玉はその名の通りネギたっぷりで、友達とすっかりハマってしまい後に追加注文。餃子玉は本物の餃子の味と全く一緒で、けれど食感はお好み焼きという何とも不思議な感覚を味わい、どちらも美味しく頂いた。
そして目を引くメニューがもう一つ。デザートの「あんこ巻」。餅入り生地を鉄板でクレープのように焼き、その上にあんこをのせ包み、切って食べるものだという。店員さんに説明を受けたがこれは美味しく食べたいと思い、さっきの「自分で焼きたい派の私」はどこへやら、店員さんに作ってもらうことにした。
「ごまあんこ巻」、「抹茶あんこ巻」、「さくらあんこ巻」で生地の味が違うらしく、それぞれ頼んで友達と分け合うことにした。店員さんに綺麗に作ってもらった後、いざ実食。それぞれ生地の味とあんこのしつこくない甘みが絶妙にマッチしており、すっかり虜になってしまった。訪れたら毎回頼むため、今では自分で焼けるようになった。
花を訪れた際にはぜひ頼んでみてほしい一品である。
(オヤツコロッケ)