塩谷駅に向かう停車場の坂

塩谷地区に行くには、多くの方は国道5号線を通って車かバスで向かうと思うのですが、塩谷にはJR塩谷駅もあるんですよね。

ただ、その塩谷駅はというと、塩谷から海沿いを走る国道5号線からは随分と内陸に入った場所にポツンと建っています。塩谷の綺麗な海から離れてますし、あまり便利な場所とはいえないかもしれません。

現在、塩谷駅の前には、最上町から山側を迂回してくる道道956号小樽環状線が通っていて、そのまま国道5号線に通じていますが、この小樽環状線とは別に、国道から丘を越えて塩谷駅に向かう坂道があります。

今回はその坂道についてなんですが、その坂道は坂の向こうに塩谷駅があることから「停車場の坂」と呼ばれていたそうです。

国道5号線からだと、その坂道に入る目印になるのが、バス停「塩谷」の近くにある徳源寺の案内板で、坂道に入ってすぐ右手に、境内の立派な木々に囲まれた徳源寺が建っています(徳源寺は小樽市指定歴史的建造物でもあるのですが、その話はまた別の機会に)。

ここから結構長い坂道が続いているのですが、坂の上の方には勾配15%の標識が立っているので、なかなか急な坂道です(よく知られた船見坂で勾配15%と16%の標識が立ってます)。

この坂道を上りきると丘は切り割りになっていて、そこを越えると一旦下り坂になり、その先に塩谷駅が見えてきます。

車の普及前は街に出るには鉄道を利用していたので、当時は皆さんこの「停車場の坂」を上って塩谷駅に向かったそうです。

塩谷に暮らしていた伊藤整も、家が国道のそばにあったことから、通っていた庁立小樽中学校(現小樽潮陵高校)と小樽高等商業学校(現小樽商科大学)には、この坂道を歩いて汽車通学をしていたとのことですよ。

先日、この坂を歩いてきた時には、私以外の人はいませんでしたが、かつては多くの方が塩谷駅へと向かったこの「停車場の坂」。そう思うと、坂道周辺の静かな風景や丘の向こうの塩谷駅の眺めも、なんだか感慨深いものがあります。

参考:小樽市HP内 広報おたる連載「おたる坂まち散歩」「第47話 停車場の坂〈前編〉(ていしゃばのさか)」・「第48話 停車場の坂〈後編〉」より。

(小梅太郎)