こだわりの店
京やのラーメンは小樽一旨い。マスターこだわりの麺、チャーシュー、スープの一つ一つに秘密がある。特にチャーシューが最高。
インターネットで「小樽 ラーメン」と検索すると、「初代」「みかん」「西や」「一期一会」など数え切れないくらい多くの店がヒットする。しかし、小樽駅から歩いて10分、駐車場完備、夜11時を過ぎても開店しているラーメン屋は、小樽に住んで3年余りが経つが、わたしは「京や」しか知らない。
JR小樽駅を背にしてまっすぐ歩き、グリーンホテルが見えたら左折する。そのまままっすぐ歩くと、セイコーマートの隣りにこぢんまりと存在している。知る人ぞ知る名店で、常連客も少なくない。かく言うわたしもすっかり常連客となり、マスターと談笑しながらラーメンを戴いている日々である。
何がいいのか?何がうまいのか?
その質問に対する答えは、「全部うまい」しかない。とりあえずチャーシューを食べてみろ、とだけ言いたい。あとはマスターにおすすめを聞くといい。マスターは客と談笑するのが大好きだ。
とにかく、チャーシューがすごいのだ。
ラーメンが出来上がり、おかみさんが「はいお待ちどうさま」と持ってくる。あなたはチャーシューを見て驚くだろう。「固まっている!」と。そう、運ばれてきたチャーシューは、ついさっき冷凍庫から出して入れたかのように固いのだ。なんだここは、と思うのも束の間、チャーシューをスープに浸し、口に含めば、とろけて消える。とろけて消えるのだ。チャーシューで感動したのは人生で初めてだった。
もちろんチャーシューだけでなく、こだわり抜かれたスープや味に合わせて使い分ける麺も、マスターが世界各国を回って身につけた、他店にはないメニューも、客の心を掴んで離さない。もはや「ラーメン」とは言えない旨すぎるそれは、「ら~麺」として今日も客の笑顔と笑いを生み出している。
仕事終わりにふらっと立ち寄り、同僚たちとビールを飲み、極上の「ら~麺」を食べる。至福なひと時を、どうぞお過ごしください。
(尾)