鰊御殿
小樽市鰊御殿。
祝津の水族館近くにある建物だ。
それは少し不思議な光景で、
小高い岩山の上に立派な和風の建造物がある。
岩山というより石垣のような造りでもあるため、
どこか迫力を感じさせられ、
なんだか祝津の町を見守っているようでもある。
そのすぐ近くには鳥居や灯台もあり、
裏手は岩山の突端となっている。
その岩山のふもとには、
海はもちろん漁港や民宿が広がっており、
岩山から見下ろす光景は壮観である。
しかしこことは少し離れたところに
小樽貴賓館(旧青山別邸)というこちらも通称「にしん御殿」なるものがある。
こちらはニシン漁によって富を築いた青山家の別荘であり、
広大な敷地と豪華な庭園が味わうことができ、
新鮮な魚介類を味わうこともできる。
今回写真でもとりあげた「小樽市鰊御殿」は、
上記のものとはまた少し違う。
どうやら北海道で初めて民家としての文化財へ指定を受けた建造物らしい。
こちらの建物で展示されるものは、
漁師の生活用品やその様式、
実際のニシン漁で使用された道具であったり、
そのニシンの加工のための道具が展示されている。
また、当時の写真も一緒に展示されており、
盛んなニシン漁により活気ある雰囲気まで体感できる。
作業場兼住居ということであったが、
なぜこのような高台に位置しているのかはいささか疑問でもある。
わざわざニシンを運ぶのにも手間がかかるような・・・。
もちろん駐車場は高台の手前にあり、
自らの足で高さ50mはあろうかという坂や階段を登らなければならない。
少々大変ではあるが、
そこからの景観や館内での展示のことを考えれば、
そんな移動もまた楽しめるのかもしれない。
ふもとにある民宿青塚食堂や民宿潮騒、祝津マリーナ食堂の表には、
こぞってニシンの串焼きが並んでいる。
きっと鰊御殿にてニシンと共に歩んできた小樽の歴史を感じた後では、
そそられる興味もまた一層強いものとなるだろう。
(Y)