小樽倶楽部
2月のある日、喫茶小樽倶楽部を訪れた。この喫茶店は、臨港線沿いに鎮座する旧小樽倉庫の真ん中、要の部分にあたる、煉瓦造りの事務所棟一階にある。現経営者の坂田榮子さんが、仁木町のアリスファームから経営を引き継いでから、30余年の月日が流れた。小樽運河が現在の形になる前から、お店を開いていたということだ。
以前はアリスファームが5年ほど経営していて、その時にカウンター、テーブル、イス等の木製家具を、仁木の工房で作成したものだそうだ。素人目にも良い品物であるのがわかる調度品であった。坂田さんが、それらをひっくるめて居ぬきで経営を引き継いだ形だ。
この建物の二階が小樽観光協会事務所なので、年に何度も建物には顔を出していた。このお店に興味はあったが、なかなかタイミングが合わず、来店することができなかった。
それが、先日はじめてそのチャンスが訪れた。二階事務所に書類を置き、帰りにお店をチラ見すると、オープン看板がかかっている・・・。少し時間がある・・・。食事をしていない・・・。よし、入ってみるか!!!
「こんにちは、何か食べられますか???」
「カレーしかありませんけど・・」
「それでいいんです。それではカレーとコーヒーのセットをお願いします」
何種類かのカレーメニューから、シーフードをオーダーした。柔らかく煮込まれて、野菜もペースト状のソースにしっかりしみこんでいる、とても美味しいカレーだった・・・。
たまたま、他にお客さんがいなかったこともあり、坂田さんからこの小樽倶楽部に関して、前述のお話し等を、聞かせていただいたわけだ。
真ん中に大きな薪ストーブがあるのだが、煙突掃除が大変という事で、現在はオブジェ状態となっている。
「お客さん、煙突掃除なんてしたことないでしょ?」
「何をおっしゃいますか!!! 私も高校1年までは、風呂の石炭釡の煙突掃除やらされてましたよ・・・、40年以上前のことですけど・・・」
小樽らしい建物の喫茶店で、楽しいひと時をすごさせていただいた。また、近いうちに寄らせてもらおう・・・。
(斎藤仁)