杜の樹

morinoki

 「杜の樹」は水天宮の麓、相生町の古民家を改装した民宿である。正式には「おたるないバックパッカーズホステル杜の樹」というようだ。平成11年(1999年)9月から、北海道初のバックパッカーズホステルとして営業している。

 経営者の原田さんご夫妻、ご主人のお母さんが、わたしと同じマンション同じ玄関ということもあり、マンションには住まわれていない原田さんとも、何度も顔を合わせている。また、お互い愛犬家ということで、朝の散歩で遭遇することもしばしばだ。

 「どうですか、景気は?」
 「そうですねぇ、まああまりかわりませんね・・・。」
 「やはりお泊りになるのは、外国の方が多いですか?」
 「そうですね、外人も多いですよ・・・」

 まあ、こんな感じの会話をしながら、朝のあいさつをかわす。

 ここが数年前、毎年10月に開催している「音座なまらいぶ小樽」という音楽イベントの会場になったことがある。この音楽イベントは、参加している10数会場すべての入場料が無料で、100組ほどのプロアマ問わずミュージシャンが出演する、小樽市内でも大きなイベントである。私もその際にここの中に入らせていただいた事があった。

 いかにも大きなお家で、どこぞやのお偉いさんの家だっただろう事が簡単に想像できた。玄関も広く、上り框(かまち)に大きな段差があり、今風なバリアフリーではないのだが、妙に懐かしかったりした。

 縁側があったり、その廊下がギシギシ言っていたり、ちょっと柱が傾いていたり・・・。昭和の香りのする、とても懐かしい大邸宅だった。

 小樽にはこのような古民家、古い建造物が多く残されているのはよく知られているが、なかなか再活用されないで、放置されていたり、壊されるのを待っているような建物も多い。ここはあまりお金をかけずに、リノベーションした好例ではなかろうかと思っている。

(斎藤仁)