冬の海獣公園ガイドツアー2016
東京に住む先輩と友人が北海道に旅行に来ることになった。「小樽にお勧めの観光はない?」と尋ねられ、迷わず答えた。「おたる水族館の海獣公園ガイドツアーはいかがですか?冬期間は入れない海獣公園を、スノーシューを履いて飼育員さんが案内してくれます。運が良ければ野生のアザラシやトドやオジロワシにも会える人数限定のレアなツアーです。」
先輩も友人も水族館マニアではないが、このガイドツアーなら自信を持って勧められると考えた私は、ツアーに申し込んだ。
だが、当日おたる水族館に到着した途端、先輩の口から出た一言は
「なにこれ!すごいレトロな水族館!」
確かにおたる水族館は東京の水族館とは違う。数年前に行った東京の水族館はまるでテーマパークのようだったし、中は暖かいし、すべてがピカピカだった。おたる水族館はいつ来ても楽しいので、施設の古さなど気にしたこともなかった。入館した途端テンションが下がる先輩を見てちょっと心配になる。
その日は曇りで風が強く、体感温度はかなり低い。「寒くて嫌な思いしないだろうか」とハラハラした。だが、ツアーが始まり海獣公園に入った途端、遠くからトドの鳴き声が聞こえた。やった!今日は野生のトドが見られる!心配が少し和らぐ。
海にあるトド岩を見ると、50頭ほどのトドが寝そべっている。目の前の岩の上ではアザラシが寝ている。ふと頭上を見るとオジロワシが飛んでいき、海の中からひょっこり顔だけ出しているアザラシも見かけた。小樽の海はこんなに自然が豊かなんだと、改めて思ったと同時に興味深げにガイド役の飼育員さんの話を聞いている先輩や友人を見て安心した。
時折吹雪いたこの日のツアー、感想を聞かれた先輩や友人は「普段は見られない生き物や冬の自然を見られて良かった。このツアーはもっとプロモーションすれば、東京からでも客を呼べると思う」と話していた。
「良かった。楽しかったみたいだ…。」
一番ホッとしたのはガイドをしてくれた飼育員さんではなく、きっと私だった。
寒さに慣れていない先輩や友人にとっては、かなり寒さが身にしみたツアーだったと思う。だが、日本海特有の荒々しい天気も、グオーグオーと響く野生のトドの声も、餌を狙って寄ってくるカモメの大群も、凍るような寒さの中でのんびり寝ているアザラシも、日常とは違う北海道の旅を満喫させてくれるには十分だったと思う。
ところで、皆さんは『鮭は飲み物』というキャッチフレーズをご存知だろうか。知らない方は、このあと是非検索していただきたい。きっとおたる水族館に来たくなるはずだ。
(まがらりか)