ずっと歩んできた坂

slope10

 私は大学生になって初めてバイトを始めました。バイト先は大学から少し歩いたところにあるスーパーで、私はそこでレジ打ちをしていました。自分の住んでいるところからバイト先までは徒歩で10分ほどで緩やかなのぼり坂になっています。大学一年生からバイトを始めていたのでもう2年以上もそのスーパーでレジを打っています。

 そして何十回、何百回も家とバイト先との坂を上り下りしています。何度かバイトに遅れそうになりバイト先に全力ダッシュしてバイトする前から疲労困憊になることもしばしば、冬は歩道もつるつるで何度も転びそうになりました。しかしバイト先には一度も遅刻したことがなく、今では遅刻しそうな時でもどこまで、どのくらいの速さ走ればいいのか感覚的にわかるようになり、全力疾走しなくても遅刻せずにバイト先に行けるようになりました。何十回、何百回と歩いてきた経験がなせる技です。

 そしてこの坂は人通りも多く、お店もいくつかあります。蕎麦屋や焼き肉屋、クリーニング店、コンビニなどさまざま。
 しかし無くなってしまったお店もありました。そのお店はケーキ屋さんでテレビにも取り上げられたこともある有名なお店でした。私も何度かそのお店のケーキを食べたこともあり、とても美味しく、そして安くて学生にも優しいお店でした。そんなお店が閉店してしまったことが残念でたまりませんでした。バイト行くたびそのお店のシャッターが閉じているのを見ると、どこか寂しい気持ちになります。

 地元に帰るときも慣れ親しんだ風景が変わっていると同じような気持ちになります。変わらないものなんてないのかな そんなことに気づかせてくれる小樽の坂でした。

(石)