ジャイアントコース

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 天狗山スキー場に、ジャイアントコースという最大斜度42度を有する壁のようなスキーコースがあった。
 写真、新コースとワイングラスのように見えるダイナミックコースの間にそれはあり、現在はご覧のようにブッシュも伸び切り、二つのコースを分断する低木森林のようになっている。

 私が天狗山に通っていた昭和40年代から50年代にかけても、ジャイアントコースはスキー場入口に建つ案内看板に記載されるだけの状態で、この壁を滑り降りるスキーヤーはほとんどおらず、おのずと整備もされない状況となっていった。

 ここは決して、小樽の名スキーヤーが下りられなかったわけではなく、間にあった70m級、90m級のジャンプ台がダイナミック、ジャイアント両コースからリフト乗り口へのアクセスを大変困難にしていた。

 ただ、ダイナミックコースだけは、そのまま松ケ枝スロープへ続いていたので、小樽のスキーヤーがよくやっていたスキーのまま帰宅の、格好のコースの一つだった。

 

 話しは変わり、私の母校松ケ枝中学校スキー部アルペン陣は、校舎の裏山である前述松ケ枝スロープで練習していた。当時行われていた、中体連スキー小樽地区予選のアルペン競技会場も、私が在学していた3年間は、このダイナミックコースから松ヶ枝スロープを会場に、大回転競技のみ開催されていた。ちなみにジャンプ競技は桜町中学校ジャンプ台や潮見台シャンツェ、クロスカントリー競技は小樽公園内周回コースやからまつ公園で開催されていたと思う。

 私が入学した昭和46年(1971年)12月、ジャイアントコースである事件が起きた!!!
 私と同学年のスキー部員3名が、新コースからダイナミックコースへ練習用の竹ポールを運搬中に、一番最後を滑っていた者だけが、足元からのなだれに巻き込まれてしまった。

 異変に気付いた前の二人は、ひるむことなく約100メートルを滑り降り、一人は救助隊を呼びに、一人は埋まっているであろう場所に待機し、助け出したという事故があった。巻き込まれた者は、命に別状無かったとはいえ、全身骨折等で長期入院を余儀なくされた。

 事故にあった選手は、高校、大学でも競技スキーを続け、現在も元気に暮らしているが、天狗山スキー場で起きた雪崩事故として、大変衝撃的であった。

(斎藤仁)