天上寺

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 入船十字街から山側へ上がり、北ガス小樽支店の上隣に、春のお花見、秋の紅葉狩りの名所として有名な小樽の名刹(めいさつ)浄土宗天上寺はある。

 小樽仏教会会長も務めたことのある、石上源応住職は私の青年会議所、ロータリークラブの先輩である。同年代の仲間は、愛情を込めてゲンちゃんと呼んでいるが、まさか後輩の私が、そう呼ぶわけにもいかず、ゲンさんと呼ばさせて頂いている。

 私の知り合いの檀家さんは、還暦を優に超えたゲンさんをつい最近まで若と呼んでいた。2年ほど前になるか、百歳を目前に控えた白寿で天寿を全うされた先代が、ご存命だったことが要因のようだ。現在は、慶応大出身の息子さんがお寺に入っているので、若の世代交代は順調に進んでいるようだ。

 世界最古の企業として有名な、大阪の金剛組が近年、歴史的建造物に指定されている本堂を復元修理した。その修理途中を仲間と見学させていただいた。

 この本堂は、明治23年(1890年)、入船十字街に建立されたが、大正3年(1914年)に現在地に移設し、それ以来当時の使用木材を極力使い、何度か修理修復を実施しているとの事。また、入母屋妻入り造りで裳階(もこし)を付けた外観は、長野の善光寺を模して建てられたと説明してくれた。

 さて、写真の山門であるが、これは本堂の修復より以前に、小樽の近藤工業にお願いし復元工事をしていただいたとの事。この山門をくぐると、前方にみごとな桜が見え隠れする光景がある。これは絶景という表現がぴったりの景色。おそらくこの界隈一番ではないか。

 また、秋の紅葉狩りの季節には、庫裡から素晴らしい景観を見たことがある。15年ほど前の秋、ゲンさん主催のおでん会議に参加した時の事。出汁の効いたおでんと共に紅の鮮やかさは、今でも覚えている。今年も二つの季節で市民を楽しませてくれるはず。

(斎藤仁)