小樽水族館カメの太郎

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暖かくなり、お出かけが楽しい季節になりました。
ゴールデンウィークも多くの人で賑わっていた小樽水族館ですが、海のそばの高台ということで、晴れた日の眺めは素晴らしいものです。海風に吹かれながら祝津の海を見下ろすと、その青さに心を奪われます。何とも言えない爽快さが胸を満たします。こんな景色が身近にあることをしみじみとありがたく思います。

今人気のチンアナゴや、イルカやオタリアのショーも楽しいのですが、今日はウミガメの太郎についてお話したいと思います。
水族館に入るとすぐのところに、大型の水槽があります。そこにはエイやサメ、サバの群れなどが泳いでいます。その中にいるのが、ウミガメの太郎です。水槽の前に置かれた説明書き、「太郎ものがたり」には次のように記されています。

「そのカメは、大事な片腕がなくなっていた。
右腕からは血が流れ、閉じた目は二度と開かないかと思われた。
それが2007年秋の夜に水族館に運び込まれた「太郎」との出会いだった。
さらに暖かい海に生息するウミガメに10月の北海道は寒くて過酷な水温だったに違いない。どんな恐怖を感じ、生死の境をさまよったのだろう。

しかし彼は決してあきらめなかった。

あれから5年以上の月日が流れ、「太郎」は元気にたくましく育ち、この水槽にデビューした。
「太郎」の名前は浦島太郎からきている。
浦島太郎のお話ではウミガメは竜宮城へといざなう使者だったが、この「太郎」は飼育係やお客様に元気や勇気を与えてくれる使者として水族館に来てくれたのかもしれない。」 

太郎が保護されて間もなく、一匹だけで別の水槽にいた頃を覚えていますが、本当に大きくなりました。きっと助けられずにいたら、今の姿にはなっていないでしょう。飼育係の方の愛情と努力は並々ならぬものだったことでしょう。自然の中では淘汰されていたかもしれない命が、今あることに、出会いの縁を感じます。

ぜひ、太郎に会いに小樽水族館へ足を運んでみてください。

(川)