雪解け時期の勝納川
大きな川がない小樽では、市街地を流れる勝納川は、自然の姿を多く残すとても“川らしい川”で、小樽市民にはとても馴染みの深い川ですよね。
山の雪解けの時期は水量も多くて、流れも速く、何だか川も生き生きしているように見えますが、この時期の勝納川のそのような光景は、春を感じさせる眺めでもあって、先日もついつい勢いよく流れる川に見入ってしまいました。
写真は3月下旬に、国道5号線の高砂橋から下流を見たところですが、右手に南樽市場が見えるこの眺めは、見覚えのある方も多いのではないでしょうか。
勝納川は於古発(おこばち)山南西山麓を源にしているそうで、天神町・奥沢町を通って市街地を流れていきますが、昔は、この勝納川の豊富で綺麗な水を求めて、川沿いには様々な工場が集まり、小樽の産業を支えていたとのことです。
現在もミツウマや第一ゴムといった小樽を代表する企業の工場か建っていますし、水が大切な酒造りでは北の誉酒造が、さらに下流には田中酒造亀甲蔵がありますね。
また、勝納川といえば、上流の奥沢水源地が、2011年に奥沢ダムが廃止になるまでは、小樽市民の水瓶として利用されていました(「水すだれ」と呼ばれて親しまれている、階段式溢流路(かいだんしき-いつりゅうろ)は今も残ってます)。
そういえば、勝納川ではこどもの日を前に、4月中旬になると地元町内会の人たちによって、南樽市場横の真砂橋から高砂橋付近にたくさんの鯉のぼりが掲げられて、すっかりこの時期の風物詩となっているんですよね。今年はどうかな?
このあたりの川沿いは散策路が整備されているので、もう少し暖かくなれば、のんびり散歩もできます。今は川沿いの工場は数少なくなってしまいましたが、昔も今も市民にとって勝納川は、身近な川なんですよね。
それに、街の中にこのような自然を感じられる川が流れている風景って、何だか気持ちが和んでいいですよね(あっ、それは長く厳しい冬を過ごした後の、春の風景だとなおさらかな)。
(小梅太郎)