船見坂

funamizaka

 小樽駅を出てすぐに富岡の住宅地へと続く坂がある。船見坂という標識が見えるとともに、傾斜が15%あがりますという黄色い標識が目に入る。

 実際に登ってみると、いつも通学で登っている地獄坂よりも少しきつく感じる。こんなにも急な坂なのに、多くのお年寄りが坂を元気に歩いて登っていく。そんなお年寄りたちから元気をもらい、登ること10分ほどで船見坂の一番上に到達した。

 坂の上では、港の観光客向けの店と違い、住宅地が広がっていた。多くの小樽の人は、坂を下って仕事や買い物に行き、坂を登って自宅へ帰る。小樽の人たちは坂と共に生きていることを実感できる。坂の上から登ってきた坂を見ると、改めて船見坂がどれほど急であるかを認識できる。まるで、ジェットコースターのレールを今から下るような気分にさせられる。

 その坂の下り道の向こう側には港の観光地と海が広がっている。海と山が隣接している小樽ならではの光景だ。訪れた日は天気が少し悪かったのであまり景色がよくなかったが、晴れた日に見ることができれば、素晴らしい景色であろう。

 また、船見坂は小樽ではめずらしくロードヒーティングが設置されている。あまりにも坂が急であるため、車道が凍っていると車であがることができなくなってしまうからだ。そのため、冬でも引っ切り無しに車が行き来している。歩道という歩道が無いため、歩いていると少々危なっかしい思いをするが、これも小樽の醍醐味であろう。車道に雪が無いということは、冬道に慣れていない本州から訪れた観光客には登りやすい坂とも言える。

 小樽に観光にきた際には、小樽という町や市民の生活ぶりを味わえる船見坂に登ってみてはいかがだろうか。天気がよければ、坂の上から美しい風景を見ることができるだろう。

(橋)