雲海

sea_of_clouds

 感動の景色とは、一生のうちでどのくらい出逢えるのでしょう。

 私は子どもの頃に家族と出かけた道東方面の峠の頂上で偶然に一面の雲海から昇る朝日を見ました。子ども心に「すごいなあ」と思ったのと、父親に「こんな景色は滅多に見られないから、よく見ておくんだよ」と言われたのがとても印象深く心の中に残っていました。

 それから自分の中で“雲海”の景色は超レア級と位置付けられました。そして、やはり父の言葉通り、その後そんな景色に出逢うことはなかったのです。

 だからどこかで“雲海”という言葉を聞くと、何か心の奥がザワザワと騒ぎ出していました。
 昨年ぐらいに流れた“日本のマチュピチュ”のCMなどを見た時には、すぐにでも旅に出ようかと思ったくらいです。
 そのCMに触発されてから、やたらと雲に目が行くようになり、家から見える山の中腹によく雲がかかっているのに気付きました。「あれ?もしやこの上に行ったら雲を見下ろせる?ってことは・・・雲海?」と思い始めたのです。

 早朝や夕方、雲が低くかかっている時を狙いちょこちょこ出向いてみます。すると!雲海になっているではありませんか。
 日本のマチュピチュのような完璧な雲海ではありませんが、見下ろすところに一面の雲。こんな身近に自分の中で超レア級だと思っていた景色があったのです。

 そして、陽がくれる頃、とても雲の低い日があり、小樽から赤井川に抜ける毛無山の展望台に行ってみると、この写真の景色と遭遇したのです。薄らいだ雲の隙間から溢れる小樽の夜景に眼も心も奪われました。

 小樽は湾になっているので、夜が綺麗です。天狗山、毛無山からも、とても良く見えます。雲海も運が良ければセットで見られるかもしれません。
 雲海を見たい皆様に良い運が訪れますように。

(erico)