佐藤圭樹さん
他の土地から小樽へ移住して来た方は、文化的な方が多いという印象があった。
文学者やアーティストを多く輩出している町に何かを感じるのか、地元の人にはわからない魅力があるのか、そんな方たちに、どうして小樽への移住を決めたのかを聞いてみたかった。
“小樽散歩案内”今年4月、第4版が発行されたディープな小樽の解説本、その著者佐藤圭樹さんに話を伺った。
佐藤さんは生まれも育ちも東京。大学卒業後、海外旅行のガイドブックの編集者として出版社に勤務していた。32歳の頃、独立とともに東京から離れることを考え、学生時代からよく旅した北海道に決めたそう。海外や、国内での仕事のしやすさ、空港や札幌までのアクセス、そして趣味の海、山のアウトドアライフを満喫できる場所を探し、小樽を選択したという。小樽への深い思いがある答えでなかったのは意外だった。
そんな佐藤さんの“おたるくらし”が始まった。編集者という職業柄、気になったのはガイドブックなどで、小樽の見どころとして紹介されていたのは、ごく限られたスポットばかりだったこと。もっと地元ならではのバックグラウンドを盛り込んだ小樽からの情報を紹介しようと“小樽散歩案内”を発行するに至ったそう。
オフは夏でも冬でも海や山で、少し危険なぐらいの“散歩”を楽しまれている佐藤さん。
小樽の奥にあり秘境と言われ、私も憧れる〝穴滝“は覚悟して行こうと思っている場所だが、佐藤さんからは「ビギナー向けだよ」とあっさり。穴滝の手前にある地図上でも道が記されていない難所“雨乞いの滝”へもこの冬、1人で到達したと言う。
マニュアル通りではない小樽の遊び方、歩き方をする佐藤さんは、先入観のない目で小樽に住み、新しい魅力を見つけ出したのだと感じた。生まれも育ちも小樽の私だけれど〝小樽散歩案内“を片手に、そんな佐藤さんの記した小樽を改めて歩いてみようかと思う。
(erico)
(写真提供 佐藤圭樹さん「厳冬の雨乞いの滝」)