入船十字街から三叉路へ~少年たちの原風景

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 小樽の景観の大きな特長は、起伏に富んでいることです。
 平坦ではないその道に、特に冬は泣かされることが多いものの、この坂があるおかげで見る場所によって全く表情の違う、おもしろい眺めを楽しむことができるのです。

 国道五号線の入船十字街を天狗山の方へ上り、交番の一本上の路地に右折して入ると左手に桜で有名な天上寺があります。
 このお寺は、善光寺の本堂等を模したといわれ、市の指定歴史的建造物でもあります。境内には30本あまりのソメイヨシノがあり、桜の季節は趣のある本堂と桜とが、言葉にできないほどの美しい調和を生み出しています。また、秋も色鮮やかな紅葉を楽しむこともできます。

 天上寺を起点とする坂を上っていくと、右手に入船公園があります。
 近所の子供たちの遊び場であるこの公園には、テニスコートや少年野球場も併設されています。また小樽軟式少年野球連盟の本部もあります。
 シーズンともなれば、毎土日、少年たちの「バッチコーイ!」という元気な声が響いています。しかし、かつてはたくさんあった少年野球チームも、少子化や放課後活動の多様化などのため、小樽でもその数を減らしていますが、それでも20チームほどが活動しているようです。
 小樽の少年団では、ほとんどの監督やコーチが手弁当で子どもたちのために熱心に指導をしてくれています。小樽にこうした少年団があり続けてくれることは、子どもたちにとってとても意義あることだと私には思えます。あらゆるところに商業主義がはびこっている今日、大人がお金の介入のないところで真剣に身をささげている姿を身近にみることは、子どもたちにとって貴重な経験となるからです。
かく言う私の息子も、ある少年野球チームでお世話になっています。日々、親だけでは教えきれないことを教わっていると感じます。

 

 入船公園を過ぎると、三叉路に行きつきます。
 そこで振り向き、坂を見下ろすと、天気のいい日は青い海の向こうに対岸の白い山々が神々しい姿を現してくれます。筆舌に尽くしがたいほどの美しい眺めです。
 あー、小樽に住んでてよかった。(坂を上るのはきついけど…)
 そう思える瞬間です。

(川)