キンダーリープ

kinderlieb

 小樽にある石造りの蔵は、今でもいろいろなお店としても利用されています。どれも素敵なところで、観光客の方々はもちろん、地元の人からも愛されています。

 私の独断と偏見で選ぶ、蔵にぴったりのお店の一つが「キンダーリープ」です。メルヘン交差点の坂道を少しだけ上ったところにあるこのお店、おもちゃを売っています。
普通のおもちゃ屋さんとは違い、電子系のおもちゃは一切取り扱っていません。あるのは五感を使って遊べるアナログのおもちゃばかり。ヨーロッパの高品質な木のおもちゃなどが多いのも特徴です。

 店内は梁の見える吹き抜けになっていて、冬は大きなまきストーブが赤々燃えと店を暖めています。一階には、木のおもちゃや欧米から輸入されたボードゲームやカードゲーム、シュタイナー教育にかかわりのあるもの(ウォルドルフ人形や蜜蝋のクレヨンなど)が大切にディスプレイされています。2階には子ども向けの本や遊ぶスペースがあり、「レーゲンボーゲン」というカフェも併設されていて、お茶を飲むこともできます。

 以前は築港の大型商業施設で営業していましたが、何年か前に今の場所に移りました。

 正直言って最初は、素敵なお店だけど、なぜ人口(特に子ども)の少ない小樽でやっているんだろう??やっていけるんだろうか??と、余計なお世話でしょうがちょっと心配に思っていました。
でも今の場所に移って蔵で営業を始めてから、小樽の街にあってこそ、このお店の良さが出るのではないかと思うようになりました。
小樽の街には使い込んでこそ味の出るおもちゃがよく似合います。石造りの蔵には、このお店のポリシーがよく似合っているのです。

 様々なところで大きな経済に巻き込まれ、知らないうちに私たちは心をすり減らしてはいないでしょうか。キンダーリープは、そんな日常から抜け出す出口を教えてくれるお店。そんな気がします。

(川)