北海道の鉄道発祥の街、小樽。

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鉄道好きのみなさんは驚かないかもしれないが、一般の観光客にはあまり知られていない話だろう。それでも小樽は、まぎれもなく北海道における鉄道発祥の地なのだ。
その痕跡は、いまでも小樽の街の中に途切れ途切れに残っている。
それらが再び一つにつながる日は来るだろうか。

1880年(明治13年)以降、小樽市内から札幌を経て、はるか石狩平野の三笠市までを鉄路で結んだのが官営幌内鉄道。三笠市内の炭坑から海運の発達した日本海側へと石炭を運び出すことを主眼に、日本でも三番目に開通した鉄道になるという。

その幌内鉄道の小樽側の始発駅は、手宮駅。
現在の小樽駅から見て北北東方向の海寄りに位置していたのは、もちろん、石炭を船積みするための設備と鉄道をなるべく短い距離で結ぶためだろう。

当時の汽車は手宮駅を出ると南小樽駅までほぼまっすぐ南下し、そこからは朝里、銭函と、今でも海岸すれすれの線路上を、おおよそ三時間かけて札幌へと向かったわけだ。

その後、北海道や小樽の経済の盛衰に翻弄され、手宮駅は主たる積み荷を変えながらも生き延びた。そして開業から100年余を経過した1985年(昭和60年)には、その役目を終えたとして廃駅になっている。いまでは、小樽市総合博物館(旧小樽交通記念館)へと姿を変え、日本最古の機関庫や貴重な鉄道車両を多数見学することが出来る。

手宮駅の廃駅と同時に、そこから南小樽駅までの区間(旧手宮線)も廃線となった。街の中を細く長く通り抜けている貴重な遺跡として、小樽市の手で再活用が模索されている。廃線沿いのオープンスペースでは、夏は「小樽がらす市」が開かれ、冬には「小樽雪あかりの路」の会場にもなっている。

旧手宮線には、並行する道路がないことから、クルマやバスに乗っていては、一瞬で通り過ぎてしまう。その歴史を感じとるには、歩いて訪ねてみるのが一番だと思う。

近隣の住人はこの旧手宮線をごくあたりまえに生活道路として利用しているが、それもまた小樽らしい風景だ。
また最近では、市民グループから、手宮線をLRT(軽量軌道交通:次世代型路面電車)として復活させるという提案も出ているという。小樽に暮らす人、小樽を訪れる人に愛される存在として、北海道最古の鉄路が生まれ変わる日が楽しみだ。

(大)