北電の元テニスコート

 写真は小樽警察署の通りを挟んだ下隣、北電小樽支店の関連車両が停まっている。その奥側に北電小樽支店の車庫がずらっと並んでいる。ここは北電小樽支店駐車場のひとつである。

 ここはその昔、北電のテニスコート一面があった場所である。ふと気づいた時には、砂利が入れられ駐車場になってしまっていた。

 よく考えると、ふと気づいたとは大げさで、駐車場になって30年くらいは経過しているだろうかと、おぼろげな記憶をたどっている。

 私たちから上世代にとってテニスというとハイソなスポーツというイメージであった。富岡お屋敷街には銀行官舎のテニスコートがいくつかあったはずだ。私にとっても大企業の福利厚生施設にテニスコートがあるというイメージである。また、余談だが小樽市役所の別館もテニスコートをつぶして建設されたと記録されている。

 この北電テニスコート跡がテニスコートであった頃。40年以上も前の話しであるが、小樽工業高校硬式庭球部(現テニス部)が、部活の練習場としてここを借りていた。学校敷地内にもテニスコートが2面あったのだが、部員数の多い軟式庭球部(現ソフトテニス)専用に使われていた。またその当時、中学生、高校生のテニスというと軟庭で、ほとんどの学校に部活が存在した。

 それに対し硬庭部と言われていたテニス部は、市内3校くらいにしかなかった。
 学校内で継子扱いされいろいろなテニスコートを借り、ジプシー生活を送っていた樽工テニス部の終の棲家が、この北電テニスコートだったわけだ。

 テニスという競技は、コートに多くても4名しか入れない。サッカーやバスケットボールならグラウンドやコートの半面で練習もできるのだが、テニスはそうもいかない競技だ。

 人数が多いと多くの部員がコートの周りに球拾いの名の下に待機しなければならない。このテニスコート跡の駐車場前を通ると、多くの部員が金網にずらっと並んでいた光景が目に浮かんでくる。そんな昔の事をふと思い出すのだ。

(斎藤仁)