やっぱりレトロな小樽

 今回私が紹介したいのはパヌモア松月堂である。ここは洋菓子や和菓子を取り合う老舗だ。小樽商科大学から駅までの道のりのほんの先にあるので学生も行きやすく、駅からも5分程度で足を運べるので観光客も訪れやすい場所に位置している。

 周りの現代的な建物に反し、ここは建設当時から変わらぬ風貌で小樽の歴史を感じるレトロな異彩を放っている。1916年~1917年(大正5年~6年)、つまり現在から約100年前に建てられたと推定されていて、当時は杉本松月堂という名で営業していた。現店名であるパヌモア松月堂のパヌモアはフランス語で松と月を意味する。そして看板の真ん中には今もなお杉本の文字がある。

 私がこのお店を見つけたのは学校までのバスの中で、明らかに他とは違う店構えがとても魅力的だった。店の前には今ではめったに見ない回転式看板があり、中に入るととても親近感のある優しそうなおばあちゃんが迎えてくれる。ショーケースには様々なお菓子がずらりと並んでいてどれを買おうかとても迷ってしまう。菓子折りもたくさんあり、小樽のお土産にはもってこいだ。
 店内正面の大きなショーケースの奥ではおばあちゃんと若い店員さんがお菓子の箱詰めをしていて、その姿を見ると思わず買ってあげたくなってしまう。おすすめを聞くとどら焼きだというので早速、ラズベリーのどら焼きをパクり。甘いどら焼きとあんこにラズベリーの酸味がおいしい!

 ここだけでなく小樽にはレトロが点々としている。観光地へと変わっていった小樽だが今もなお、こうしてひっそりと、しかし堂々と小樽の古き良き街並みを守ろうとしている、おじいちゃんのような頑固でやさしい場所がある。小樽を観光したことのない私でさえ、なんだかほっこりする。
 ぜひ小樽の色々な表情を見つけてほしいと思う。

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