伊土商店
伊土商店は新富町のお米屋さん、米穀店である。ここの三代目社長伊土政志さんは小樽青年会議所の後輩で、音楽仲間でもあるので大変仲良くさせていただいている。
愚息が小樽工業高校を卒業した平成18年(2006年)、私はこどもが卒業したのにPTA会長を一年間務めさせていただいた事があった。義務教育のPTA活動とは違い、高校のPTA活動はどの学校も昔からそれほど活発ではなく、毎年役員のなり手不足で担当教諭が大変苦慮していた。
たまたまPTA担当の吉田義家先生が亡父の数学科の後輩ということもあり、大変よく存じ上げていたので一年間と言う約束で引き受けさせていただいた。
一年間ということは、以降の道筋をきちっとつけなければならなかったので、在学生の親であった3名の小樽青年会議所の後輩に頭を下げ、役員になっていただきその3名が以降の会長を順次引き継げる体制にして、退任させていただいたのだ。
その時の一人がこの伊土商店三代目、伊土政志さんだ。お祖父さんの代からここで米穀店を経営しているのだが、現在は一般小売より飲食店への業務用のお米を販売するのが主力と言っていた。
そんな関係で樽工PTA主催で実施する年数回の役員懇親会は、伊土商店の取引先である「しかま寿司」で開催することが多かった。また、伊土さんの顔でサービスもしていただいていた。
お店前の通りはそのまま小樽港の貯木場につながり、近所に木材関係の会社が目白押しだった時代は、店先に何を置いても売れていたと述懐している。この通りにもいろいろな商店があったのだが、残っているのは自分のところだけだとも言っていた・・・。
また、音楽イベントのポスターや協賛のお願いを持参すると、店番をしているここにお住いのお母さんが、毎回笑顔で快く受け取ってくれて大変助かっている。
PTA役員時代の思い出をひとつ。会長を仰せつかるとあいさつをしなければならない場面が多くある。その中で、伊土さんが会長になり私が相談役として出席させていただいた会合での一コマをご紹介させていただく。
昔お寿司屋さんの大将から聞いた話しだと言って、以下の事をあいさつに入れたことがあった。
寿司屋にはお金の取れない七つの「り」があるそうです。
一つ目はご飯の「しゃり」、二つ目は巻物の「のり」、三つ目は生姜の「ガリ」、四つ目はお茶の「あがり」、五つ目はお土産の「折り」、六つ目は「小上がり」、そして最後は・・・、みなさん何だと思いますか???
それは最後に言う「毎度あり」なんですよ!!!
というオチが付き、出席者からなるほどと感嘆の声が上がり、あいさつは終わったのだ。
免許制から許可制へと米穀販売制度は変わり、小売米穀店は生き残りに大変と聞くが、伊土商店は、持ち前の明るさで小樽になくてはならない米穀店になっている。
(斎藤仁)