アルバイトと外食
小樽に住む学生にとって、実にありがたいアルバイトがある。
・・・30年前の話ですから・・・・
小樽は港町なので、外国の貨物船も入港する。
そして、その貨物の荷出し、荷積みの
アルバイトの賃金がすごく良かった。
船自体がデカいから、数日間のアルバイトとなる。
残業ともなれば、船員食堂で超大盛りの夕食も食わしてくれた。
そして、アルバイトが終わると、
ひと月の仕送りに相当する収入を得ることになる。
「さて、行きますか」
一時的成金になった僕らは、
久しぶりに小樽の街に繰り出すわけですね。
食事なら「まるた」
焼肉なら「金太」
焼き物なら「暮六つ」
寿司なら「金寿司」
刺身なら「魚一心」。
そして、どこへ行こうと仕上げは「Gパン」。
シメは「福富軒」の味噌ラーメン。
・・・30年前の学生が行っていた店ですからね。
どこに行っても美味しかった。
そして、いつも笑い合ってた。
「まるた」のあのカツ丼。
カツがでかくて、ドンブリの蓋が閉まらず、
カツの上にちょこんと乗って出てくる。
「蓋の意味ないべや」
と、ゲラゲラ笑い合う。
「金太」のめちゃくちゃでかいおにぎり。
初めて来た学生がおにぎりを注文すると、
店のオジサンが
「なに、おにぎり1個で足りるのかい? 若いのに」
と引っかける。
そして、出てきたおにぎりを見て
「ギョギョギョ!」
と、七輪で煙にまみれながら笑い合う。
「暮六つ」のあの薄暗い
漁村の民家を思わせる雰囲気が大好きだった。
学生でも気楽に入れる「金寿司」が大好きだった。
「魚一心」で腰を落ち着けて刺身をつまむ時など、
何か一人前の大人になったような気がした。
「Gパン」で、友人と朝まで話し込んだ。
シメで「福富軒」に行き、
せっかく注文した味噌ラーメンを前に寝てしまった。
そのどれもが懐かしい。
やっぱ、好きだな、小樽。
・・・調べてみたら、今も数軒があの当時の場所に残っていました。
これを読んで、同じく「あの頃」を懐かしく
思い出してくれる人がいてくれたら、嬉しいです。
※写真は、31年前の「金太」前にて。痩せてる・・・
(みょうてん)