ふと立ち止まって眺める東雲町の坂

坂の街・小樽には名前が付いてよく知られた坂道があって、そのような坂道は眺めもとてもよかったりするのですが、普段の暮らしの中にも、ふと立ち止まって眺めてしまうような坂道があります。

今回のここ東雲町にある坂道は、ついつい目に留まる個人的にお気に入りの坂道で、場所は水天宮のすぐ近く、小樽市指定歴史的建造物の旧寿原邸の向かいから下っている坂道です。坂のすぐ横が旧堺小学校のグラウンドなので、知っている方も多いかもしれませんね。

名前はないと思うので(あるのかな?)、普段は東雲町の坂と呼んでいます。

旧寿原邸前の通りも下り坂なんですが、その向かいから下っていくこの東雲町の坂は、下り始めが手すりの付いた階段になっていて、その階段から先の細い坂道は木々に覆われるように続き、距離は短いのですがなんとも趣ある眺めを見せてくれています。

私は、例えば散歩で水天宮に行った時の帰り、この坂の上を通るたびに立ち止まって眺めてしまい、そして、用もないのにとりあえずこの坂道を下ったりして…

そうそう、この坂道沿いには桜が少しだけ咲くので、桜の季節はまた一層味わい深い眺めになります。ただ不思議なことに、ここは晴れた日より曇り空のときの方が何だか雰囲気があって、ちょっと落ち着いた静かな感じが似合う坂道ですね。

今回の東雲町の坂は本当に短くて、特別ではないちょっとした坂道なのですが、見方によっては風情も感じるこういう坂のある風景を目にすると、少し得したような気分になります。

坂の街・小樽には、実はこのようななんだか気になる、ちょっとだけ素敵な坂道が、生活している中のあちこちにあるんですよね。

坂道を上り下りするのはなかなか大変で、ついつい足元だけを見がちですが、顔を上げて周囲を見てみると、そこにはなかなか素敵な坂のある風景を見ることができるかもしれません。そしてそれもまた、小樽ならではの眺めですね。

※掲載写真は過去に撮影したものです。

(小梅太郎)