特別な坂を探して

sunrise10

一度でも足を運んだことがある方ならば分かると思うが、小樽は坂が多い。
坂は小樽の名物である。

例えば、小樽商大の生徒ならば毎朝、地獄坂というその名の通り長く傾斜が急な坂を登るはめになる。もちろん私もそのひとりである。
冬は凍結で危険、夏は過酷で汗だく。日々の坂の上り下りは正直好ましいものではない。

しかし、特に通学・通勤者にとっては百害あって一利なしと思える小樽の坂だが、それらは時に景観として人々に感動を与えてくれる。つまり、坂の数だけ絶景ポイントがあるということである。

普段、小樽の坂の多さに不満ばかり漏らしている私だが、坂があったからこそ見ることができた景色があった。これは、その時の写真である。

大学1年の秋、たまたま朝焼けに気付いた私はもっと見晴らしが良い場所でその朝焼けが見たいと思った。だが自宅から旭展望台までは30分はかかる。大学までは15分位だがその間に朝焼けが終わってしまうかもしれない。

とりあえず学校を目指そうといつもの坂を登り始めると、いつもの通学路の反対方向の小道にもっと急な坂が見えた。
行ったことはなかったが、なんとなく思い付きでその坂を登ってみる。
すると進んで5分ほどのところに大きなアパートがあった。どうやら駐車場からは小樽を一望できるようだ。

静かな町と海に反射する朝焼け。
それは私が求めていた以上の美しさだった。そしてそのような景色が自宅の近所に存在していたことへの驚きがその感動をより増幅させた。
穴場とでもいうべきなのだろうか、きっと名前もない坂の先にあったその場所は私のお気に入りの絶景スポットとなった。

朝焼け、夕焼け、星空、花火、なんでもいい。
もしたまたま小樽で歩いているその時の空が綺麗だったら、とりあえず上を目指してみてはどうだろうか。
もしかするとすぐ近くにその空をもっと楽しめる素敵な場所があるかもしれない。坂の町小樽にはそんな可能性がいっぱい詰まっていると思う。

(こつ)