モツ煮とコーラ

kashu

 私が所属している某サークルで代々、定期的にご飯を食べに行くお店がある。
 「華舟」という中華料理屋。花銀商店街を抜けて、大きなパチンコ屋がある手前の道を曲がるとすぐに見つかる。いつから営業をしているかは分からないが、知り合いの20代上の先輩がその名前を知っていたのでかなり古くから営業しているお店だと思う。少なくとも私(これを書いている今は20歳)よりは年上だ。
 お店に入るとカウンターとテーブル席がいくつかと、大人数が座れるお座敷。サークルの人たちと行くときはいつも奥のお座敷を使わせてもらう。

 席に着くと、テーブルの隅に置いてある紙とペンで注文する料理を書き込む。小樽に通い始めて3年経った今でこそ当たり前となっているけれど、最初はこの方式にびっくりした記憶がある。真っ先に書き込むのはモツの煮込み。これを食べるために華舟に来ているといっても過言ではない。

 皆の会話に花が咲き始めたころに料理が運ばれてくる。モツ煮、ザンギ、華舟チャーハン、麻婆丼。いつもはだいたい2人前ずつ頼む。が、これが物凄い量。だいたい10人前後で食べに行くことが多いけれど、十分にお腹いっぱいになる。多分学生だからたくさん食べるだろうと踏んだお店の人が量を調節してくれているんじゃないかな、と私は密かにずっと思っている。

 さて、料理の味はというと、どれも文句なしに美味しい。お椀からこぼれそうな程にたっぷりと盛られたモツ煮は少し辛めのスープとモツがよくマッチしているし、ザンギは肉汁でやけどしそうな程ジューシー。実際に、できたてにかぶりついて何度かやけどしたことがある。チャーハンと麻婆丼もあっという間になくなってしまう。みんなでわいわいと食べていると、お店の人から「宴会で余ったからみんなで飲みなさい」とコーラの差し入れ。

 小樽の人たちのこういう人情味溢れるところが好きだな、としみじみと思う。少しだけ気の抜けたコーラからは、優しい味がした。

(JN)