港町の住民

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大学進学と同時に越してきた小樽という街。地元が内陸にあった私からしてみると、駅を出てすぐ目の前に広がる真っ青な海の景色だけでも十分新鮮なものだった。
しかしながらもうひとつ、地元とは全く違う景色に驚かされたことがある。
海に面している土地の良さは、単に綺麗な海がみえるだけではない。
そんな、港町としての小樽の素敵な一面を紹介したいと思う。

小樽に住んで初めての夏、私は大学のサークル内での紹介で、とある工場で短期のアルバイトをすることになった。行先は「高島」という街。

まだ土地勘のなかった私は言われた通りのバスに乗り、アルバイト先に向かった。

バスは海沿いを走り、そのまま聞いていた停留所に到着。降りた瞬間感じたのは、駅前とは全く違う磯の香り。
どうやら「高島」は漁師の街のようだ。

マップを広げながら指示された小道を通ると、小さな船や網、貝の選別をする大人達の姿。
あまりに馴染みのない光景に気を取られていると、もうひとつの変わった景色に目が奪われた。

「車の上にも猫、車の下にも猫、玄関にも猫・・・。」
昔から動物好きの私にとって野良猫なんて偶然会えたらラッキー、見つけたら写真を撮る間もなく逃げてしまう、そんな存在だったので、右も左も猫だらけな道を見てびっくりした。

思わずアルバイト先の工場長に聞いてみると、
「海沿いなら漁師が餌やってくれると思うのかね、飼えなくなった猫を海沿いに捨てていく人が昔から多いみたいでね。一緒に暮らしてるみたいなもんだよ。」

確かに高島にいる野良猫達は人馴れしており、猫同士じゃれたり日陰で寝ていたりと、人の気配なんて一切眼中にもない模様。
どの港町そうなのか、小樽は中心地でも猫が多く、人懐っこい猫も多い。
しかし高島の猫達は他の野良猫達とはどこか違う生活感や落ち着きがあった。

街のはずれで生活の一部と化した猫の集団。
ちょっとした邦画の世界のような、高島の自由気ままな猫達に会うことが、バイトの楽しみになった。

(こつ)