祝津展望台の星空
街の中に住んでいると、夜空に星が見えている事を忘れてしまう。本当はよく晴れた空なのに、月が出ている事に気がつく事はあっても、なかなか星が見えることには気がつかない。
そんな日常をずっと過ごしていた私に、小樽は満天の星空が街のすぐ近くで見える事を教えてくれたのは、少し年上の友人だった。彼女は夏に話題になった「ふたご座流星群」を見に行こうと誘ってくれた。観察する場所は、どこか遠くに行くのではなく、市街地のはずれの空き地だった。
空き地で待ち合わせると、彼女は車に乗ってやって来た。それぞれ持ってきたシートを広げ、その上で彼女が持って来てくれたコーヒーを飲む。女子だけの「星空カフェ」。
シートの上に寝転がって流れ星を待つ。普段はなかなか話す時間が持てない私たちでも、星空の下ではガールズトークに花が咲く。
「あ!今流れたよ!見えた?」
「あ!こっちにも!」
「すごいね!小樽の街のはずれでこんなに流れ星が見えるんだね!」
主婦二人連れだが会話はすっかり流星を見てはしゃぐ子ども。
そうやって1時間に6個ほどの流星を見た私たち。「また見に来ようね」と話しながら、それぞれの車で家路に就く。
その日から私はよく星空を見上げるようになった。当たり前の事だが、暗いところに行けば行くほど、肉眼でも星がよく見える。意外な事に街灯のある場所でもよく見える場所がいくつかあった。その一つが崖から海を見下ろせるビューポイントの祝津パノラマ展望台だ。眺望の素晴らしさや日の出が美しいスポットである事は有名だが、星空を見るにもちょうどいい場所だということは今年の夏まで気がつかなかった。
北から東の方角の夜空がよく見える祝津展望台から11月の末頃に撮った写真には北斗七星やふたご座、明るく輝く木星が見えていた。今まで知らなかった星座を知り、星の名前を覚え、いよいよ星空観察が楽しくなってきた。冬は曇る日が多い小樽だが、次の晴れた夜にはまた夜空に星座を探しに行こうと思う。
(まがら りか)