正法寺
中央バス小樽市内線最上町行に、正法寺前というバス停がある。そのバス停は、緑第二大通り沿いにあるのだが、第二大通りからさらに参道の坂道を100mほど上がると、近年改築された正法寺本堂に到着する。
昔、ここの境内は、近所の子どもたちの格好の遊び場だった。鬼ごっこ、かくれんぼ、缶けり、みんなこの周りの山坂を走り回っていた。
小樽駅側のお隣は、中央バス重鎮の松川嘉太郎邸と、まや幼稚園の直行寺、最上町側のお隣には、4階建て海上保安庁の公務員住宅、この公住裏には、防空壕跡があったりした。
子どもたちは、その防空壕跡を
「原始時代の洞窟だあ、奥にきっと原始人がいるんだ」
などと馬鹿な事を言っていた
この名刹の門柱は、緑第一大通りにもあるので、第一大通りと第二大通りの間、正法寺通り200m余りの住宅街も、参道ということになる。この通りには昔、野球、スキーの名門校、北照高校があった。
正法寺も、西別院、龍徳寺、量徳寺同様、小樽仏教会所属六十七寺院中、五寺院しかない、一級寺院(檀家数千軒以上)の一つに数えられている。
昭和40年代前半までは、本堂の横を抜け、商業高校下に出る小道があったが、納骨堂建設と共になくなってしまった。その納骨堂も40年以上の歳月を持って取り壊され、近年正法寺会館として、新しく小樽駅側に生まれ変わった。
松川邸も、防空壕跡も、裏の小道も、そして子供たちが遊ぶ姿も無くなり、正法寺のたたずまいも変貌してしまったが、まわりの緑と鐘の音は変わらず、市民の心に沁みわたっている。
(斎藤仁)