相乗りタクシー

taxi_stand

朝、小樽駅の改札を出ると、たくさんの商大生がぞろぞろと行列をつくっているのが見える。目的地はタクシー乗り場。
タクシーを相乗りするために並んでいるのだ。

小樽駅から商大へと行く方法は主に3通りある。傾斜のきつい坂道を歩くか、バスに乗るか、タクシーに乗るか。
私は入学当初、ダイエット効果をねらってずっと徒歩で通学していたので、ものすごい行列をいつも横目に見るだけだった。
なんのために並んでいるんだろう?
どうやらタクシー乗り場まで列が続いているらしいと知ったのは、入学してしばらく経ってからだった。

寝坊したせいで初めて列に並んだときには、勝手がわからずどきどきした。周りを見ながら見よう見まねだ。
どうも知らない人同士でも並んだ順に4人ずつ乗車しているらしい。なんの打ち合わせもなしに、その中の1人がタクシー料金を支払ったことにびっくりする。割り勘することは予想がついたけれど、一体いくら払えばいいのかわからない。他の人を見るとどうやら100円玉を2枚、200円ずつ渡しているようだった。
素知らぬ顔で同じようにふるまったけれど、内心は初めてのおつかいを終えた子どものようだった。

タクシーの相乗りにはいくつかのルールがある。後になって友達に聞いて知った。
1台のタクシーに3〜4人が乗ること。このときお互いが知り合いであるか否かは関係ないこと。助手席に座った人が料金を支払うこと。他の人は降車後にその人に一定額支払うこと。乗車人数に応じてこの金額も決まっていること。
誰に教わるのか、いつのまにかみんなが共有している。ルールとはそういうものなのか。
人が少ないときには駅の前でタクシーに乗りそうな商大生を待つこともある。知らない人同士がお互いを待っているのはなんだか不思議な感じがする。

学生だけではなくタクシーの運転手さんたちにも、この風習は浸透しているようだった。人数がそろわないときには「お2人で大丈夫ですか」と確認されたり、料金が一定額を超過したときにはその分をおまけしてくれたりする。

この風習はいつから始まったんだろう。もしかしたら相当長く続いているのかもしれない。これからも、商大が地獄坂の上にある限り、ずっと続いていくような気がする。

(ぶたまん)