祝津の2つの鰊御殿
小樽の祝津はかつてニシン漁で栄えた地区で、今も番屋などのニシン漁場にまつわる建物が残っていますが、鰊御殿と呼ばれる建物が2つあるんですよね。
祝津の先端、高島岬の高台に建つ「小樽市鰊御殿」と、祝津漁港から少し山側に入った「にしん御殿 小樽貴賓館(旧青山別邸)」がその2つです。
鰊御殿とは、ニシン漁で得た富によって、かつて網元達が建てた立派な建物のことを呼ぶようなので、一般名称としてあちこちにあるんですよね。
祝津のこの2つの鰊御殿はどちらもお馴染みで、現在も多くの観光客が訪れる施設ですが、今回はその2つの鰊御殿について、ちょっと調べてみました。
まず、高島岬に建つ鰊御殿ですが、こちらは「小樽市鰊御殿」と呼ばれ、昭和35年ににしん漁場建築として北海道有形文化財に指定されています。
この建物は旧田中家住宅とも呼ばれているのですが、実は元々ここに建っていたわけではないんですよね。
明治30年、西積丹の古宇郡泊村に、そこの網元であった田中福松によって建てられたもので、その後、昭和33年に小樽の現在の場所に移築されたそうです(参考:小樽市HP)。
現在、建物内には、にしん漁や加工に使われた道具、番屋で暮らした人々の生活用具や写真・パネルなどの興味深い展示がされてます(入館有料)。
高島岬の上に立つこの小樽市鰊御殿は、祝津のシンボル的な建物でもありますよね。
そして、もう一つの鰊御殿「にしん御殿 小樽 貴賓館」は、旧青山別邸とも呼ばれ、祝津のかつての三大網元のひとつ、青山家の豪邸とのことで、大正6年から6年半余りの歳月をかけ建てられたとか。
旧青山別邸は平成22年9月に、国の登録有形文化財に指定されてもいるんですよね。
現在は、旧青山別邸と庭園、食事処等を合わせて「にしん御殿 小樽貴賓館」として、観光客を楽しませていますよね(入館有料)。
ということで、祝津の鰊御殿についてでしたが、この2つの鰊御殿は、祝津をそして小樽を代表する歴史的建造物でもあるんですね。
写真:小梅太郎の「小樽日記」
(小梅太郎)