包丁塚

 写真の包丁塚は、住吉神社社務所玄関横、新しくできた副参道の入口に鎮座している。
碑文には、昭和61年(1986年)10月15日に建立と記載されている。

 令和2年(2020年)6月14日、住吉神社例大祭初日宵宮に家内と散歩がてら訪れた。

 今年の住吉神社例大祭は、他の各地夏祭り同様、三密を避けるべく露店、神輿渡御は中止となり、神事のみ行われる事となっていた。

 薄暮の中、国道を渡り第一鳥居から入場。石灯篭に照らされた長い参道をゆっくり進んでいくと、ローカルテレビの情報番組、北海道新聞小樽後志版で話題となった朱色の副参道が目に留まった。早速、縁起物だからくぐってみようかと副参道入口に行くと、見慣れない石碑が目に飛び込んできた。これが包丁塚だった。

 私たち夫婦が、住吉神社で結婚式を挙げたのが昭和60年(1985年)4月なので、その翌年の建立となるわけだ。それ以降、何度も住吉神社を訪れているのだが、情けないことにこの包丁塚にはまったく気が付かなかった・・・。

 碑文には「・・・大役を果たした包丁を塚に収納し魚鳥菜の供養と共に深く感謝の念・・・」と記載されている。当時の小樽割烹調理師会顧問佐原初三郎氏の撰文ということだ。

 約34年という月日が経ってるのだが、石碑は手入れが整っているからか、真新しい雰囲気を出している。

 題字は歴代小樽市長志村和雄氏の毛筆揮ごう。小樽市立病院前にある、量徳小学校跡の「小樽教育発祥乃地」の題字揮ごうも当時の志村和雄市長だった。歴代市長随一の達筆だったと噂されているのは、まさに本当だったようだ。

 北海道の包丁塚は、札幌の北海道神宮はじめ多くの各地神社境内、参道に鎮座している。使い捨てが当たり前の時代、道具への感謝の気持ちと、食物への「いただきます」の心を改めて考える事となった。

(斎藤仁)


※本記事の内容は2020年7月時点の情報に基づいたものです。