オーンズの二面さ
小樽にいくつかあるスキー場。その中でもスノークルーズ・オーンズは小樽市中心部から一番遠い。
銭函地区の外れにあるものの、ここにはたくさんの魅力が詰まっている。
オーンズには初心者用のコースから上級者用のコースまであり、コースの幅も広い。天然雪が多いため雪質も良い。
オーンズ(Onze)とはフランス語で11を意味する。それに因んで例年11月11日にオープンし、午後11時まで営業している。札幌や小樽からアクセスも良いため仕事終わりのサラリーマンや大学生が散見される。週末は家族連れや観光客で賑わっている。
このスキー場は景色が良く、滑るのに飽きない。小樽の外れの街並みと海が見える。そして冷たい潮風が気持ちいい。決して大きくないが、夜になるとその街並みは美しく力強く光を放つ。そこに向かって滑り降りるのは最高だ。
休憩所はレストランなどが充実しており、きれいで広く立派な建物だ。たくさんの人が食事したり、談笑したり、休んだりして賑わっている。ここのあんかけ焼きそばはとても人気で、おいしく体があたたまる。ここは暖房がきいているためソフトクリームを口にする人もいる。
そんなオーンズが2018年まで、夏にゆり園を営業していたのはご存じだろうか。
そこは白一色ではなく、カラフルな世界が広がっていた。なんと213万輪ものゆりが咲き乱れるゆり園だ。このゆりを下から見上げるのも、リフトの上からや頂上、また展望台から見下ろすのもまさに絶景。特に見下ろす際はゆりと同時に街並みや石狩湾の海を一望できた。
景色と同時に、ゆりの香りのするソフトクリームやゆり根の天ぷらなど味覚からもゆりを楽しめた。また、花火大会も行われた。ゆりと花火と海の共演はあまりに贅沢で、ゆり園の閉園は本当に悔やまれる。
夏に行っても冬に行っても楽しめる。小樽は年中、派手さと豊かな表情で私たちを迎えてくれる、そんな場所だ。
(アグレン)
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※本記事の内容は2020年8月時点の情報に基づいたものです。
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写真:眞柄 利香