水昌堂

 水昌堂は花園3丁目、松竹ボウル跡に建った「エスセーナ花園公園ルネス」という長い名前のマンション向かい側にある手作りケーキ和菓子のお菓子屋さんである。「菓子司水昌堂」というのが正式名のようだ。

 これは、「かしし」ではなく「かしつかさ」と読む。老舗和菓子屋の接頭語とご理解いただきたい。創業は明治45年(1912年)、今年令和2年(2020年)で創業108年を迎えた事となる。

 人気の和菓子は、柏もちと黒糖の効いた茶色一色のべこ餅。小樽のお菓子屋さん、お餅屋さんはべこ餅を得意としているお店がたくさんあるのは、よく知られている。焼き菓子クッキーの「ゴロダの丘」も、チョコロールケーキの洋菓子類も人気商品となっている。

 不定期だが、長崎屋小樽店一階エスカレーター降り場に出店していることがある。その時は、季節により口取り、わらび餅、おはぎ、どら焼き等の和菓子が多く出品される。ここに洋菓子ケーキが陳列されることはない。

 私の一番のおすすめは洋菓子ケーキ「ミルフィーユ」である。何年も前のことであるが、水昌堂のミルフィーユは絶品だと聞かされた。この近所にあった病院のスタッフが教えてくれたのだ。

 その病院では交代で購入係を決め、「ミルフィーユ」の賞味をするというのだ。さらに、早く買いに行かなければすぐに売り切れてしまうという、少し尾ひれのついたと思われる都市伝説まで教えてくれた。

 実は、私は店の前を毎日通勤で通っていた。水昌堂の存在も知っていたし、当然看板もしっかり見ていたのだが、そんな歴史があり、美味しいお菓子の作っているお店だとはまったく知らなかったのである。

 私が初めてここの「ミルフィーユ」を食べたのは、記憶は定かではないのだが20年以上は前のことだと思う。前述直ぐになくなるとの情報だったので、ショーケースにあった3-4個すべて買いますと大人買いしたのだ。
 実はこれが3度目の訪問で、前2回は売り切れで、都市伝説が事実であったのだと体験していた。

 帰宅し、家族で早速食べてみた。サクサクのパイ生地とまろやかなカスタードクリームの絶妙なバランス感覚が最高で、毎週、毎月とは言わないが、以降何度も購入している。
 家内の妹家族にもこの「ミルフィーユ」を食べさせたことがあった。以降小樽からの帰りはこの「ミルフィーユ」を大量購入してお土産としていると聞いている。

(斎藤仁)


※本記事の内容は2020年7月時点の情報に基づいたものです。