メルヘンな街、小樽

 小樽は私にとってメルヘンな街である。

 小学校の修学旅行、小樽で自主研修を行った私は、とあるメルヘンな店に驚かされた。実はこの思い出こそメルヘンそのもので、というのもお店をネットで探してもそれらしい店が一つも見つからなかったのである。

 確かその店は、メルヘン交差点のそばにあった。計画になかった寄り道だった。ふらりとその店に入ると、壁一面にかわいらしいテディベアのストラップが並んでいたのだ。
 5㎝くらいのテディベアに洋服のようにレースやストーンがつけられていた。本当にかわいくて何個か買ったがぼろぼろになって捨ててしまっただろうか、もう家にそのテディベアたちはいなかった。
 もう店はなくなってしまったのだろうか、それともそんな店はなかった…?真相は闇の中である。

 小樽のメルヘンな要素はまだある。メルヘン交差点にある蒸気時計だ。高3の夏、一緒に小樽商科大学のオープンキャンパスに行ったカナダ帰りの友人が教えてくれた。
 12時になり蒸気と愉快な音を出すその時計は、カナダのバンクーバーにある世界初の蒸気時計の製作者が作ったものらしい。そんな秘話を聞かされて、一瞬、行ったこともないバンクーバーにいるような錯覚に陥った。まさか北海道の小樽市で、遠い異国のカナダの情緒を感じられるとは思いもしなかった。

 この2つの私が体験したもの以外にも、小樽にはいろいろなメルヘンがあふれている。小樽駅で電車を降りた瞬間にメルヘンは始まっているのだ。
 プラットホームのランプは夜にはぼんやりと明るく、改札をぬけた後に見える高い天井も歴史を感じさせる。オルゴール堂のガラス細工は絵本のようにロマンチックだし、小樽芸術村、ステンドグラス美術館の実際にイギリスの教会で飾られていたステンドグラスたちは、私たちを神聖な気持ちにさせてくれる。

 小樽がこれほどまでに私たちをメルヘンな気分にさせてくれるのは、小樽の、貿易港として国際的に栄えた華やかで長い歴史の名残があるからかもしれない。

 少し現代から離れた、異国情緒あふれる、良い意味で古めかしい、メルヘンな街、小樽。非日常的な刺激を求めて訪れてみてはいかがだろうか。
 テディベアのお店の謎も解決してくれれば幸いである。

(ほのか)


※本記事の内容は2020年8月時点の情報に基づいたものです。

写真:眞柄 利香