駅前第一ビル

 小樽駅前第一ビルは、小樽駅前再開発事業の一環として整備され、昭和49年(1974年)3月にオープンしている。今年令和2年(2020年)で築46年という事となる。

 完成する前年の昭和48年(1973年)春、青森十和田への中三修学旅行の出発に集合したのが、現在の第一ビル歩道橋あたりから小樽駅ホームに向けて石畳の斜路があり、その先に貨物取扱所、そこが集合場所だった。今で言うと交番前の壁画の上あたりかと思う。

 第一ビルができる前の町並みは、微かに記憶に残る程度となってきている。中央バスターミナルは三角市場側にあり、現在の中央バスターミナルができて、そこにあった多くの路面店が移転、解体された。それにより、駅前広場が格段に広がったわけなのである。

 第一ビルオープンと同時に、紀伊國屋書店が店子となった。黒船の来航に地場の書店(丸文・左文字・いろは堂等)はある条件を提示したという。それは、高校教科書を取り扱わないという事だった。しかし、現在は3月になると2階廊下に高校教科書コーナーが特設されている。

 2階ヤマハ小樽の向かい側は、上島コーヒーの大きな喫茶店が入居していた。そこで、高校の帰りに仲間と駄弁るのが、小さな楽しみの一つだった。その後、店名が変わった記憶があるが、その場所も紀伊國屋書店にとって変わられて久しい。

 地下にはCD、楽器の玉光堂が入っていたのだが、現在は床屋さんとパソコンメンテの会社が入るのみ。あとはがらんどうである。

 3階から上は事務所ビルとなっている。小樽法人会、中央会計、小樽駅前ビル、同級生の佐藤ただひろ事務所等が入り、音楽イベントや社交ダンスイベントの後援や協賛のお願いに、たびたび顔を出している。

 入口は別の裏側なのだが、5階から9階までは50戸の稲穂改良住宅という名の市営住宅となっている。最高のアクセスということもあり、なかなか空きも出ず入居するのが困難な市営住宅となっているという。

 そんな中、平成29年(2017年)、小樽駅前第一ビル周辺地区開発準備組合が設立された。第一ビルから高雄ビルまでの、広範囲にわたっての駅前再々開発事業だということだ。第一ビルに関しては、最短で10年以内の建て替えを目指すという事だが、長期戦は免れそうもない気配だと、組合理事長に就任した浅村公二小樽駅前ビル専務は言っていた。

(斎藤仁)


※本記事の内容は2020年6月時点の情報に基づいたものです。