駅前第二ビル

 長崎屋、ドン・キホーテが入る小樽駅前第二ビルは、昭和50年(1975年)3月に竣工している。国道を挟んだ向かい側に前年昭和49年(1974年)3月、市民から「イチビル」と今でも呼ばれている小樽駅前第一ビルが完成し、次の小樽駅前第三ビル(現在のサンビルスクエアの先代)まで、小樽駅前再開発が着々と進んでいた時代である。

 第二ビルの完成当初は、1フロアーとしては北海道で一番広い売り場面積という謳い文句だった。現在はウイングベイ小樽はじめ、全道各地に大型ショッピングモールが多く建設されているので、一番大きなショッピング街ではないのはご存知のとおりだ。

 しかし当時は、確かに既存の稲一大通り3つのデパートと比べると、飛び抜けた広さだった。また、5階から上が分譲マンションになっており、都会の雰囲気を醸し出すビルの完成に、前年の第一ビル完成の時より、小樽も都会に近づいたと、当時高校生だった私は心踊らせたものだった。

 現在は4階まで売り場となっているが、開店当初は4階が2台の車載エレベーターで上下する大きな駐車場だった。後年札幌側に立体駐車場が完成し、4階も売り場に変更されたというわけなのだ。

 第二ビルは、後に完成した小樽駅前第三ビルが「サンビル」と「イチビル」同様略して呼ばれることが多かったのが、第二ビルだけは「ニビル」と呼ばれることはほとんどなく、キーテナントを指して「長崎屋」と呼ばれることの方が多かった。今は「ドンキ」と呼ぶ市民も多くなってきている気がするが・・・。

 この第二ビルに入居している商店は「サンポート事業協同組合」に加盟している。大型店の長崎屋、ドン・キホーテも加盟店の一つで、その他の商店同様組合員となっている。

 毎年、お正月「サンポート商店会新春感謝祭」と、3月年度末「サンポート商店会春の開店記念祭」に1階中央「公共プラザ」で、アコースティックライブをさせていただいている。

 この場所は、開店時は大きな水時計が設置されていたところである。今でも妙齢の市民は、そこは水時計のあった場所かいと言うのだが、撤去されて多くの時が流れているので、残念ながら多くの市民には通じなくなってしまった事のようだ。

 また、「公共プラザ」海側壁面には、続縄文時代の洞窟壁画で有名な、手宮洞窟とフゴッぺ洞窟のレプリカが、小樽窯で有名な白勢陶園の作で由緒書きと一緒に展示されている。

 この「公共プラザ」は、建物内でありながら小樽市の公園なのだそうだ。という事をサンポート商店会の佐藤喜典副理事長が教えてくれた。なんと、建物の中に小樽市の公園が存在するという、稀なケースを教えていただいたというわけだ。

(斎藤仁)


※本記事の内容は2020年6月時点の情報に基づいたものです。