小樽の浅草とは

 私が考える小樽の魅力は、住宅街という日常の空間と、小樽運河や立ち並ぶ倉庫をはじめとする歴史的建造物が共存していることである。

 小樽は地元の人と観光客の距離が近く、人間らしい温かみを感じることができる素敵な場所である。穏やかな時間が流れる小樽での観光といえば、小樽駅から小樽運河あたりまでのスポットが有名かもしれないが、小樽駅から小樽商科大学までの間にも、小樽の深い魅力は隠れているのである。ここでは、そんな小樽商科大学の学生ならではの魅力を伝えたいと思う。

 私が大学に向かうまでの道に、ひっそりと佇んでいる風情漂う建物がある。それは天台宗「浅草寺」である。ここには聖観世音菩薩立像が安置されており、これは10世紀後半に制作され、なんと道内最古の仏像である。

 普段であれば、通り過ぎてしまうが、私はこの機に入ってみることにした。寺内は草が生い茂り、昔話などに出てきそうないわゆる「お寺」というような雰囲気が感じられる。だが、ここはただのお寺ではない。門をくぐり振り返ると、海が見え、坂の街小樽を感じることができるのである。

 「浅草寺」と見てまず思い浮かべるのは、東京都にある「せんそうじ」であろう。だが、小樽の「浅草寺」は「あさくさでら」と読む。
 なぜ小樽にも、浅草と呼ばれる場所があるのだろうか。疑問に思ったので調べてみると、ここ浅草寺から小樽運河まで延びる道を「浅草通り」、この通りと運河が交差する橋を「浅草橋」と呼んだのが由来であるようだ。

 どうやら東京都の浅草との接点はないようだ。私は札幌に住んでいるため、小樽の地名に関しては詳しくはないが、まさか身近に浅草と呼ばれる場所があるとは、とても新鮮であり、驚いた。

 このように普段は気にも留めない、周りの景色にも目を向け、小樽のコアな魅力をどんどん見つけてみてほしい。

(アイカ)


※本記事の内容は2019年7月時点の情報に基づいたものです。