路地裏の優しい洋食店

 小樽はどんな町だと思う?皆さんはこう聞かれて、どのように答えるだろう。穏やかな町、にぎやかな町・・・様々な答えがある。しかしここでは、一つ取り上げたい。小樽は優しい町。これから紹介するお店を知れば、こう答えたくなるだろう。

 大きな通りから細い路地に足を進めてみると、優しい色味のおしゃれなお店が目に入る。小樽の町に調和する、一瞬通り過ぎてしまいそうになるこのお店は、ビストロ小泉。

 小樽民には有名なお店らしいが、札幌生まれ札幌育ちの私はこのお店の存在をつい先日まで知らなかった。
 お店の中は木が基調とされた、レトロで落ち着いた雰囲気。入ると優しい香りがする。初めて入ったお店なのに、どこか懐かしさを感じさせるのだから不思議だ。

 迎えてくれるのは、優しいオーナーのご夫婦?と思われるお二人。私はサークル活動の一環で昼食をとることになり、ここを訪れたのだが、席に着くとすぐにお冷やを持ってきて、「ご苦労様、暑かったでしょう?」と声をかけてくれた。この声かけに優しい気持ちにさせられた。あたたかい微笑みに、こちらも自然と笑顔になる。

 注文したのはハヤシライス。絶品だった。私はそもそも外食でハヤシライスを食べたのはこれが初めてだったのだが、それを後悔するほどに、おいしかった。加えて、添えられたサラダのドレッシングのレシピを知りたくなった。食後にはジャワティーかホットコーヒーが運ばれてくる。お好みで選べるのだ。リラックスしておいしいひとときを過ごせば、たまっていた疲れはすっかりなくなっている。店を出るときはまた、お二人の優しい笑顔に見送られるのだ。

 外食で、これほど心温かくなることは今までになかった。また必ず食べに来よう、と思わせるのは料理のおいしさだけではない。お店にあふれる優しさだ。
 ぜひ一度訪れてみてほしい。そうすれば、お二人のあたたかな笑みと落ち着いた店内が迎えてくれる。店を出る頃には、小樽は優しい町だ、と感じるだろう。場所は小樽駅から徒歩7分。きっと優しさという名の魔法に誰もが癒やされるはずだ。

(Beluga)


※本記事の内容は2019年7月時点の情報に基づいたものです。