潮見ケ岡神社

 潮見ケ岡神社は小樽築港の山側、若竹町に鎮座する古社である。宮司の本間清治さんは、齢70を超えた今も草野球の現役ピッチャーとして若さを保っている。本間宮司が、数年前であるが、小樽市内ロータリークラブ合同野球同好会に入っている頃、応援に行くと毎回快腕を披露してくれたものだった。自身曰く、私は変化球投手なので投球のほとんどがカーブばかりとの事だったが・・・。

 また、平成30年(2018年)、国の重要無形民俗文化財の指定を受けた民俗芸能「松前神楽」小樽ブロック保存会の代表としてもご活躍されている。こちらも何度か拝見している。神職や神楽の衣装、野球のユニフォームといろいろな姿を楽しませてくれる御仁だ。

 本間宮司から潮見ケ丘神社の由緒を聞いたことがある。江戸時代より鎮座していた二つの社を明治43年(1910年)12月合祀し穂垂稲荷神社と名乗ったのが始まりだそうだ。手宮祭りで有名な煤田山の上に建つ小樽稲荷神社が、大正9年(1920年)手宮裡町稲荷神社から社名改称したのに伴い、穂垂と小樽が同訓となり、いろいろな間違い不都合が生じたので大正13年(1924年)から潮見ケ岡神社と改称したのだそうだ。

 約一世紀にわたり潮見ケ丘神社の名称で若竹・潮見台界隈の鎮守様として、地域住民をお守りしているわけだ。また、小樽駅前、榎本武揚が建立したことで有名な龍宮神社とは親戚筋とのこと。

 神社と言えば、初詣にはじまりいろいろな神事があるが、なんといってもお祭りである。潮見ケ丘神社では、毎年6月一週目の週末に春の例大祭が開催されている。

 5月招魂祭からお祭りが途切れない街小樽において、神社例大祭はここ潮見ケ丘神社から始まる。6月であるが小樽の夏祭りのはじまりと言われている。若竹仲通りには多くの露店が立ち並び、本殿においては前述「松前神楽」の奉納、境内ではカラオケ大会、バンド演奏や和太鼓の打演、以前「潮見台小学校」の項でもご紹介させていただいた少年少女相撲大会も綿々と続いている。

 多くの子どもたちの笑い声が鳴り響く地域の一大イベントなのである。近年は、国道沿いの張碓稲荷神社も同じ週に例大祭を持ってきているので、夏祭りはじまりの神社が二つとなっているのであるが、潮見ケ丘神社のお祭りがはじまると、小樽も段々と暖かくなってくる気配を感じてくるのである。

(斎藤仁)


※本記事の内容は2020年5月時点の情報に基づいたものです。