旧北山中学校

 赤岩の麓にあった北山中学校は、平成29年(2017年)3月末をもって69年の歴史に幕を下ろした。北山中学校は、国道やバス通りに面しているわけでもなく、遠くから望める位置にあったわけでもないので、近隣住民や通学生、この学校に用事があってきた人たちでない限り、校舎を見ることができなかった。小樽市内にはそんな小中学校がいくつかあった。ちなみに私は、北山中学校の旧校舎を過去に一度だけ見たことがあった。

 小樽の街場からは、手宮富士の北側にあたる北小樽地域の北山、末広の両中学校は、「北山末広」と一括りに表現される事も多く、私たち世代の前世代やさらにその前世代からも、とても元気でやんちゃなイメージの学校という見方をされていた。

 北山中学校と末広中学校の間で、裏の代表が集まり今年はどちらが強いか腕自慢決定戦があるとか、今思うと元気でやんちゃな子どもたちが好きそうな、尾ひれのついた都市伝説が数多く存在したようだ。

 前述、北山中学校校舎を一度だけ見たことがあるに繋がるのだが、私が中学生だった45年以上前の事、先輩がこんなことを言ったことがあった。
 「おれたちの松中と北山は校舎が同じ形なんだよな」
 そのときは気にも留めなかったのだが、後年北山中学校の旧校舎を見る機会があり、その先輩のことばをまじまじと思い出したことがあった。

 40年ほど前のことである。北山中学校グラウンドで早朝6時から、草野球の練習試合をすることになった。当時はまだ道が狭く、一方通行だった赤岩方面への上り道路を、北山中学校目指して車で走っていると、何度か左右に曲がりながらほどなく住宅街の中に北山中学校が見えてきた。その姿は、確かに私が卒業した天狗山の麓、松ケ枝中学校と同じ形をしていたのだ。その時に、忘れていた前述した先輩のことばを思い出したのだ。

 実は今回、40年ぶりにその北山中学校校舎に会いに行ったのだ。母校松ケ枝中学校校舎が往時の姿を残しているので、北山中学校も残っているのではとの思いで行ったのだが、残念ながら既に旧校舎として解体されていた。

 さらにこの新校舎も北山中学校が閉校したことにより、近い将来解体されて行くのかと思う旧北山中学校行脚であった。

(斎藤仁)


※本記事の内容は2019年12月時点の情報に基づいたものです。