小樽から見える日本文化
「小樽三大祭り」の例大祭の一つが行われるここ、水天宮。その石造りの鳥居をくぐった先にこんな場所がある。手前側の緑の建物は日蓮宗のお寺、本妙寺。奥側の赤い屋根と白い壁が特徴的な建物はキリスト教の教会、小樽聖公会。
そう、なんとこの場所は神道、仏教、キリスト教の三者が混在している場所なのだ。
私はこの風景を見たとき、とても衝撃的であったとともに、とても「小樽らしさ」を感じた。そして同時に初詣やクリスマスの行事を行う日本を象徴する場所だと直感した。
この小樽聖公会は小樽の歴史的建造物の中でも古い建物の部類に入り、明治40年(1907年)築。水天宮の創祀は1859年と、さらに古い。
どの建造物、どの宗教にも歴史があり、港町である小樽が様々な文化の入り口であったということを感じることができる。
また、一つ面白いことはこの場所は小樽の人にとってはなんら違和感を持たない「ふつうの」場所だということだ。
周りには多くの住宅が立ち並び、初めて行った人にとっては「こんな場所に」といった具合に感じ、突然神社の鳥居が現れたように思う。例大祭ではここに多くの屋台が並び、たくさんの人が訪れる。神社、お寺、教会、この相容れないような三者を同時に受け入れてしまう小樽の懐の深さも垣間見ることができる、そんな場所だ。
私はこの場所の持つ特殊性のほか、階段をのぼった上からの眺めも非常に気に入っている。小樽市街の奥には山の緑が広がっていて、自然を感じることができる。現在はマンションなどの高い建物が多く建っているが、小樽が港町として栄えていたころはどんな風景が見えたのだろうか。
この場所のほかにも、小樽には様々な文化を感じられる場所がたくさんある。あまり観光で訪れる場所ではないかもしれないが、地元の人の懐の深さも含めて、「小樽らしさ」を感じ取って欲しい。
(tom)