散歩の楽しみ
小樽の街をのんびりと歩いたことはあるだろうか。学校、バイト、部活、とせわしなく日々の生活を送っている人が多い中で、特別な目的を持たずにぶらぶら散歩をしてみる、といった時間を持つ方はなかなかいないと思う。
北運河の方に歩いていくと、運河公園という公園がある。
私が訪れたその日は、遊んでいる子どもたちでにぎわっていた。ごく普通の公園のようにも思われるのだが、私はそこで偶然見つけたものに心が惹かれた。
地面に描かれた、外国の都市とそこまでの距離を示した羅針盤である。
その羅針盤を見た時、面白いし夢が膨らむ感じがして素敵だ、となんだかわくわくした気持ちになった。私はロサンゼルスに気持ちを飛ばしてみたりした。
子どもたちや街の人にとっては日常である公園に、世界がつながっている、という気持ちになれるようなものがあることが面白いし、自分の住む街にはないことなので新鮮に見えた。公園のそばには運河や海が広がっているからこそ素敵だし、どこの街にもありうるものではないように思う。
また、公園の周りに旧日本郵船小樽支店の建物があることや、物流に関わり世界と繋がってきた歴史が、羅針盤により一層の意味深さを持たせているようにも感じられた。
このように、私にとっては、運河公園の羅針盤がとても魅力的なものであった。しかし、ある人にとっては、そうではないかもしれない。そんな方にこそぜひ、自分の足で小樽を、のんびり歩いてみてほしい。
よく観光スポットとして紹介されている小樽ももちろん素敵であるが、自分で見つけた何かにわくわくできるというのも小樽の魅力だと思う。見つける何かは、ちっぽけなものでも、他人には無意味なものでもいい。
ほんの少し歩く範囲を広げてみる、それだけで、わくわくできる、そんな小樽で自分なりの楽しさを発見してみてはいかがだろうか。
(おなかすいた)