初めての油そば

 私は右衛門の油そばを食べて、19歳になった。私の誕生日は12月15日で、友達4人がお祝いしてくれることになり、深夜に油そばを食べに行った。なぜ、誕生日に右衛門に行ったの?と思う人もいるだろう。なぜなら私が、ものすご~く油そばを食べたかったからだ。

 私は大学1年生なので、小樽に通ってまだ1年も経っていないが、何回も「右衛門の油そば」という単語を聞いていたので、どんな見た目をしているのだろうと気になり、インターネットで調べてみた。すると、とてもおいしそうだった。
 私は食べに行きたくてしょうがなくなった。

 その翌日、私はお昼に1人で食べに行った。しかし、やっていなかった。右衛門は、夜にやっているお店だった。
 私はラーメン屋さんなら、昼にやっているだろうという勝手なイメージを持っていたのだ。

 まず、「油そば」という名前からしておもしろいと思う。油に麺類といったら、私はラーメンを連想する。なのに、店主は油に「そば」という名前を付けたのだ。
 さらに、右衛門には「追い飯」というものがあるのだ。追い飯とは、麺を食べ終わった後の、汁に入れるためのものだ。これがまたおいしいのだ。友達いわく、具を少し残しておくのがよいらしい。

 遂に、誕生日当日!深夜12時に右衛門に私たち5人は向かった。カウンター席に5人が一列になって座った。
 席の前にある酢やニンニクチップや味付けするものがたくさんあり、私はそれらをかけて味を楽しんでいた。すると、私が一番食べ終わるのが遅くなってしまった。元から食べるのが遅いのもあるが、私の友達と食べ終わる時間がかなり違った。

 急がなくてはと思った私はもりもりと食べ始め、そんな私を見て、店主さんは「ゆっくりでいいよ。ゆっくり食べな」と笑顔で言ってくれた。
 まるで孫を見ているかのような優しい顔をしていた。
 帰り道は寒かったが、私の心は温かった。

(忍次郎)


※本記事の内容は2018年1月時点の情報に基づいたものです。